「次の日もダメでした。妻は何だか必死で、自分の尊厳を守ろうとするようにオレの腹のあたりまで沈み込んで、いろんなことをしてました。でもダメ。全く無反応なんです。それでまた妻が泣きじゃくって」
彰吾は自分の落ち込みもさることながら、妻が傷ついた姿を見るのがつらかったという。
「私が授乳用の下着なんか着てるから彰吾くんがしたくならないんだって言い出して、スケスケの下着を通販で買ったりとか、風呂入った後なのに化粧したりとか。そんなんじゃないって言っても、自分に女性としての魅力がなくなったせいだと思い込んでました。それもつらかったです」
彰吾は、かつて妻とベッドの中で盛り上がった頃のことをよく思い出した。あえいでいる妻の声や表情。華奢な背中を見下ろしながら、その体をゆすぶっていた時の感覚。細くくびれた彼女の腰を下から抱き見上げた時のたまらない眺め。時には妊娠中の妻の野性的な肢体も思い浮かべた。オレたちは何度も抱き合って子どもを授かったんだと実感するとともに、今の不甲斐ない自分に涙がこぼれたという。
©Getty Images
「オレが妻に対して機能しなくなったのは、立ち会い出産が原因だと特定せざるを得なかったですね。それしか考えられなかったです」
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