「反論はぶつけましたし、離婚をしたくないという意思は伝えました。でも話は平行線のまま。結局、今後も話し合いを続けていくことになりました」。
美智子は弁護士を伴い、家を出ていった。娘は残り、湯呑みを片付けならがこう言ったという。
「ほらね、お父さんの普通はやっぱり普通じゃなかったんだよ。昭和の時代でも、令和の今でも」
「自分の普通」が他人の普通とあまりにもずれている場合、それに気づけないことは、「罪」となり得る。公平は待ち受けている定年後の孤独のなかで、自分の過ちを悔いるハメになりそうだが、定年を迎える世代が増えている今、このケースを反面教師としたい。
ライター 二階里美
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