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【寿司テロ、バイトテロのバカすぎる歴史を振り返る】テラ豚丼にアイスケース人間...バイトには必ず誓約書を書かせるべし。

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いま、日本企業はさまざまな難問を抱えているが、その本質をきちんと把握している人は少ない。そこで、我が国におけるブラック企業問題の第一人者・新田龍が、ブラック企業、ハラスメント、労務トラブル、問題社員、コンプライアンス、リスクマネジメント、炎上トラブル…など、あらゆるビジネスリスクを分析し解説していく。

「バイトテロ」。

主に飲食店や小売店のアルバイトスタッフが、勤務先の商品や備品を使用して悪ふざけをおこなう様子をスマートフォンなどで撮影し、SNSに投稿したことをきっかけに世間の注目を浴び、批判が集中して炎上する現象だ。

2013年夏頃に突如として全国で発生。某ニュースサイトが「バイトによるテロ行為」、略して「バイトテロ」と報道したことをきっかけに、ネット上で広く伝播していった。

また、当時の主流SNSはTwitterであったため、「ツイッター上でバカなことをする」意で「バカッター」とも呼ばれた。同年、「バカッター」は「ユーキャン新語・流行語大賞」および「ネット流行語大賞」にノミネートされている。

そんなバイトテロ騒動が、10年の時を経て2023年1月から全国で発生中だ。

1月末にはセブン-イレブンの店内において、従業員の女子高生2人が商品のポテトをつまみ食いする様子がネット上で拡散された。その数日後にはファミリーマートの店内で女性従業員が、噛んでいたガムを店内の鏡に貼り付けたり、レジに立ちながら「おしっこをもらした」とふざけ合ったりする様子を投稿し、すぐさま拡散して批判を浴びている。

迷惑行為はバイトテロに留まらず、大手回転寿司チェーンの来店客による悪ふざけ投稿も相次いでいる。

©Getty Images

1月には「はま寿司」において、「他人が注文した寿司に勝手にわさびを載せる」動画や、「流れてくる他人が注文した寿司を1貫だけ食べる動画」などが拡散。前者については関係人物から謝罪の申し出があったが、はま寿司は受け入れず、警察に被害届を出す方針を示している。

また「くら寿司」に関しても、「一度レーンから取った寿司を再びレーンに戻す動画」が拡散した。数年前に撮影されたものがこのタイミングで広まった形のようだが、同社は「問題の動画の行為は到底許されないものと考え、現在警察と相談しており、厳正に対処してまいります」とコメントしている。

そして、「スシロー」については、「湯飲みを舐めまわして棚に戻したり、醤油ボトルの注ぎ口を舐めたりする動画」が拡散。行為者はすぐに特定され、個人名や通っている学校名までもが流出して批判対象となっている。後日、同社には、行為者とその保護者が謝罪に訪れたという。しかし、同社は既に警察へ提出した被害届を取り下げず、「刑事、民事の両面から厳正に対処してまいります」とコメントしている。

この種の事案は、加害者であるアルバイトスタッフや来店客にとっては単なる悪ふざけの一環程度の行為であり、簡単に実行できてしまう一方で、被害企業にとってはネガティブインパクトが非常に大きい。

社会的なイメージダウンを引き起こすのみならず、商品の返品・交換、返金、店舗の清掃消毒といった、莫大なコストを伴う対処が必要になる。最悪の場合、事件が発生した店舗の閉店や、損害賠償請求等が発生するリスクがある。「テロ」との名称になっていることも頷けるだろう。

バイトテロ事件の嚆矢となったのは、2007年7月に発生した「テラ豚丼事件」だといわれている。

これは、牛丼チェーン・吉野家の厨房内で、アルバイト店員がメニューにない超大盛り豚丼を「テラ豚丼」と称して作る様子を撮影し、動画共有サイトに『【吉野家で】メガ牛丼に対抗して、テラ豚丼をやってみた【フリーダム】』と題して投稿した事案である。

この時、投稿者が「盛り付けた肉を鍋へ戻した」旨のコメントをしていたため、動画視聴者から「食べ物を粗末にしていて不快」「不衛生だ」などと苦情が殺到。当該サイト上の動画は翌日には削除されたが、動画を保存していた別のユーザーが他の動画共有サイトにも再投稿したことで、ブログやSNSなどで広く話題となり、炎上状態となってしまった。

多数の苦情が寄せられた吉野家は、すぐに調査を開始している。当日中に店舗及びアルバイト店員をほぼ特定したと公表した上で謝罪。2日後には、公式サイトに以下の謝罪文を掲載した。

「弊社商品を悪用した動画『テラ豚丼』がWeb上に投稿され、お客様には大変不安・不快な思いをさせてしまったことを、心よりお詫び申し上げます。
動画の内容を確認したところ、弊社店舗設備・食材を使用した勤務中の行き過ぎた悪ふざけ行為と思われ、現在、全社を挙げて該当する店舗・従業員の特定を行っており、事実確認が出来次第、厳正な処分をする所存でございます。尚、弊社におきましては、再度、従業員教育の徹底を行って参ります」

なお、本件動画に関与したとして、近畿地方のアルバイト店員2名を処分したが、これ以上の処分・調査を行わない旨も公表している。

そして2013年、突如として全国でバイトテロが頻発した。コンビニのアイスケースに入り込む、有名人の個人情報を拡散するなど、記憶に残っている方も多いのではないだろうか。

☆次回では、2013年に全国ニュースで報道された数々のバイトテロを振り返るとともに、会社側の対応の違いや、法的な対処方法を解説する☆

Text:働き方改革総合研究所株式会社代表 新田龍



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