“被り”とは同じセラピストを指名する女性客のことだ。
ガチ恋とまでいかなくても特定のセラピストに好意を持つと、被りの存在がどうしても気になってしまう。それを防ぐために、特定のひとりに限定せずに、その時々でいろんなセラピストと遊ぶ“回遊”というスタイルを推奨する……というのは、以前参加した女性用風俗のイベントの代表者がトークショーで提案していたことだが、とにかく早苗さんは、女風の主宰するリアルイベントに参加することを決意する。
「告知が急だったこともあって、ユーザー側の参加者は10人いるかいないかくらい中、セラピストさんは大勢で。だから全員の顔とかは覚えてないんですけど。
イベント自体は緊縛のショーがあって、それを観つつセラピストさんたちに接待されるっていう催しで。
その時に話しやすいなって思ったのが、わたしよりも一回りくらい年上のおじさまのセラピスト。初めて入るんだったら、この人にしようって思ったんです」
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