■半導体がそろわないと、そのぶんの機能を備えることができない
自動車にも、エンジンのアイドリング制御やパワーステアリングの制御、エアバッグ、エアコン、ワイパー、ABS、パワーウインドウ、キーレスエントリーシステム、パワーシート、パワーバックドアといったよく使う制御から、オートクルーズコントロール、車線維持操舵支援システムといった先進運転支援技術の数々、また、自動運転制御につながる技術に至るまで、多くの半導体が使われています。便利な装置には、ほぼ半導体が使われているといってよいでしょう。
それぞれ独立した半導体が制御しているため、パワーステアリング用の半導体でエンジン制御をする、といった代替はできず、半導体が揃わなければ、揃わなかったぶんの機能を備えることはできません。この半導体不足によっておこる納期遅れを、少しでも解消するため、たとえば、メルセデスの一部の車種では、高級車では当たり前のパワーシートの設定を廃止するなど、あえて装備を簡素化したモデルも登場しています。
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パワーウインドウなど、便利な装置には、ほぼ半導体が使われている
メルセデスの場合は、円高による販売価格アップを下げるコストダウンといった狙いもあるようですが、長く続く半導体不足の影響で、昨今は「納車のスピード」が、購入理由のなかで大きな優先順位となっており、各自動車メーカーは納期を少しでも早めようと苦心しているのです。
次に、なぜ半導体不足になってしまったのか。日本でつくれない理由を考えて行きましょう。
【続編】なぜ半導体不足になってしまったのか。日本でつくれない理由とは?
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Adobe Stock
Edit:Takashi Ogiyama
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