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【後編】なぜ半導体不足になってしまったのか。日本でつくれない理由とは?

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

2020年ごろから始まった半導体不足ですが、その原因は、新型コロナウィルスの蔓延による、(半導体工場が多い)中国上海のロックダウンや、東南アジアでの工場閉鎖や人員不足に加えて、ウクライナ情勢によって、半導体やその関連部品の製造遅れによるものです。人員不足で製造キャパシティが減少している上に、あらゆる業種から半導体への需要が急激に高まったことで、供給が需要にまったく追い付いていないのです。

また、某自動車メーカーのエンジニアによると、自動車向け半導体は、大きく買い叩かれ、薄利多売になりがちとのこと。半導体製造メーカーが限られるリソースをどうするのかを検討した結果、より高く売れるスマートフォン用やPC用といったIT業界への納品を優先した、ということも考えられます。

 

■日本の半導体技術はもぬけの殻、ただ巻き返しを図る動きも

現在、世界の半導体業界を席巻しているのは、台湾のTSMC、韓国のサムスン、アメリカのインテルなど、そのほとんどが海外にあります。かつては、NECや東芝、日立など、日本の大手企業が半導体市場を席捲していた時代もありましたが、その勢いは、アメリカや韓国、台湾などの企業へ移行してしまいました。

当時多くいた優秀な日本人エンジニアたちは、海外メーカーに高給でヘッドハンティングされており、日本の半導体技術はもぬけの殻も同然。いまでも半導体をつくっている日本の企業(キオクシア、ルネサスエレクトロニクス、ロームなど)はありますが、自動車などへ使用される半導体は、海外メーカーからの輸入に依存しているのが実情です。

ただし、ひとつ明るいニュースとしては、2022年8月、トヨタやソニーなど日系企業8社が出資して、先端半導体の国産化に向けた新会社「Rapidus(ラピダス)」の設立を発表しています。大学や国の研究機関、アメリカの先端企業など、官民一体で協力し、研究開発から量産までを進め、5年後の2027(令和9)年には、次世代半導体の生産を始めることを計画しています。国としても、先端半導体を日本の重要技術として立ち上げるべく、まずは700億円の補助金支給を決定しています。

もちろん、優秀な製品開発には優秀な技術者が不可欠。海外企業へ行ってしまった日本人エンジニアを再び呼び戻すといった活動も必要と捉えているようです。

 

■まとめ

半導体不足が解消することはまだ当分先のようですが、未来の日本の基幹産業として、先端半導体の技術が確立できるか、日本政府も今がラストチャンスととらえているようです。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Adobe Stock
Edit:Takashi Ogiyama



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