「あら〜! 菜月さん! それ食べちゃうんですね〜」
夫婦で使っていた毛布を体に巻き付けた亜由美がリビングのドアにもたれかかって笑った。菜月は亜由美を一瞥もせずにピザを咀嚼し続けた。
「なんとか言ったらどうなんですか〜。菜月さんがお肉を食べさせてあげないから、徹さんは私を求めてきたんですよ〜。知ってました〜? お迎えのときよく一緒になってたから愚痴を聞いてたんですよ〜。そしたら徹さんったら……」
亜由美は菜月の正面に腰掛けて上目遣いで見つめながら饒舌に語った。体中にチーズと肉の栄養が行き渡った菜月は突然再起動した。
「うるさい!! とっとと出て行け! 徹も連れていって!! 二度と帰ってこないで!!」
菜月は、リビングのソファに置かれていた亜由美のバッグを窓から投げ捨て、二階に駆け上り、徹のスマホをベランダから庭に投げた。
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