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CAR Dr.ノリシゲの妄想ドライブ

タグ・ホイヤー×ポルシェ。ナナサン・カレラ50周年を記念した限定ウォッチが欲しすぎる!

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まず、ネーミングの「Carrera」(カレラ)についてですが、ドイツ語でも英語でもなく、じつはスペイン語であり「レース」という意味になります。ポルシェ側からみれば勝つための競技用ベース車両ということとなり、視点を変えて一般ユーザーからみれば「サイコーのサイコーかよ!」って感じで特別かつ神聖なモデルとなります。車名の由来は1950年からメキシコで開催された公道レース「Carrera Panamericana Mexico」(カレラ・パナメリカーナ・メヒコ)での勝利から、当時搭載していたエンジンをカレラと呼びます。これがレース用エンジン=カレラ伝説のプロローグ。

ちょっとややこしいのですが、じつはタグ・ホイヤーのラインナップにはカレラ・シリーズというプロダクトが存在します。それはポルシェのカレラではなく、「ハードなドライビング中にもパッと見て一目でわかる、ドライバーに正確な情報を伝える勝利の必須アイテム=時計」という意味の”カレラ”です。つまりジャンルの異なる二つの会社の製品名としてカレラが存在していたのです。

この意味を理解するにはタグ・ホイヤーの歴史を少し振り返る必要があります。創業時の社名は「ホイヤー」です。創始者はエドワード・ホイヤー。1860年にスイスのマランで産声を上げたのち、1882年にクロノグラフに関する初めての特許を取得。1916年には世界で初めて1/100秒の計測を可能としたクロノグラフを開発します。ギュッと圧縮していうと、ホイヤーのおかげでモータースポーツの世界は分単位から1/100秒単位の競技へと飛躍を遂げます。

こうした技術的売裏付けがあって、「ホイヤー」はモータースポーツのオフィシャルタイマー(レース=ホイヤー)という代名詞的ポジションを確立していきます。一方、ポルシェは911シリーズに勝つためのホモロゲーションモデルとして1973年に「カレラRS 2.7」を開発し、911T、911E、911Sに加え追加投入(RSRを含め1580台を生産)。自らル・マン24時間レースに打って出るとともに、他のレーシングチームにも販売。瞬く間に数々の伝説を打ち立てて行きます。つまり両社にとって“カレラ”とは技術の粋を集めた共通言語だったのです。

さらに加えるなら、TAGグループ(現テクニーク・ギャバンガルド)はポルシェとともに1984年からF1に参入。マクラーレンに時代の最先端だったターボエンジンの供給を開始します。TAGグループは先進技術への投資会社です。1985年、時計業界にクォーツショックが訪れ、TAGグループはホイヤーに資本参加。ホイヤーからタグ・ホイヤーへと進化転生し現在に至ります。つまり両社の出会いと現在のパートナーシップはいわば必然だったといえるでしょう。

余談ですが、ホイヤーの歴史を目撃したければ映画「フォードvsフェラーリ」、「栄光のル・マン」がオススメです。前者は1966年、後者は1970年のル・マン24時間レースが舞台です。スティーブ・マックイーンの胸のロゴエンブレムがまだ「HEUER」であることも注目です。


©︎gettyimages

皆さんも既にお気付きでしょうが『タグ・ホイヤー カレラ キャリバー ホイヤー02 クロノグラフ ポルシェ RS 2.7』の盤面にある「Carrera」のロゴはポルシェの書体デザインです。通常のカレラシリーズは「CARRERA」であり、文字遣いもデザインも異なります。今回の2モデルに関してはコラボモデルというよりトリビュートモデルといった方がふさわしいかと思います。ポルシェ好きでなくともコレクションに加えてみてはいかがでしょうか。

Text:Seiichi Norishige

タグ・ホイヤー



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