しかし……夫は全く反応することはなかった。
夫が好きで迫ったわけじゃないのに、結果的に拒まれた形となり、千絵さんの中に怒りがふつふつと沸き上がってきた。
たまらず言い放った。
「私、よそで探してきていい?」
その一言に戸惑う夫が発した言葉は、
「それは困るけど…あてはあるの?」。
あやふやな回答、強く引き留めるような素振りもない夫。その日以降、千絵さんの気持ちはますます、鍼灸師の“彼”に強く傾いていった。
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