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不便、それがイイ? 手巻き式時計のブームを検証する!

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ゼンマイの巻き上げで、ムーブメントと話ができる?

少し「フェチ」ですが、手巻きのもう一つの魅力は「ゼンマイの巻き上げ」かも知れません。ロングパワーリザーブでない限り、手巻き式腕時計は1日1回の「ゼンマイの巻き上げ」が必要です。

それに関して、ある専門誌の編集長は「毎日決まった時間に巻き上げる」ことを推奨しています。理由は「ゼンマイ切断防止」です。毎日決まった時間に巻き上げるということは、ゼンマイの「巻き上げ量が毎日一定」になります。

筆者も以前は手巻き式腕時計の「ゼンマイ切断」が怖く、巻き上げの力加減に自信が持てませんでした。しかし「決まった時間に巻き上げる」ことで、微妙な手巻きの巻き上げ加減が理解できるようになり、最近は「切断」の心配はほぼ無くなりました。

さらにゼンマイを巻く前にリュウズを一段引くことで歯車同士の嚙み合わせが緩み、それに伴い巻き上げも軽くなることもわかり日々の決まった時間の巻き上げで色々な手巻き式の特性の理解が高まったのです。

このように手巻き式腕時計はゼンマイの巻き上げ動作があるため、筆者は「ムーブメントと会話ができる」腕時計とも、思っています。

自動巻きでは週に一度(もっと多い人もいるかもしれません)の時刻調整くらいしかリュウズを引き、回す機会はありませんが、手巻き式では「リュウズと巻き真」を通じてゼンマイを巻くことでムーブメントの状態がわかり、さながら会話をしているようです。

リュウズから伝わる感触は腕時計によって異なります。これは時計ごとにゼンマイや歯車の嚙み合わせが異なるからです。時計の個性を毎日の巻き上げによって確かめて、それらを把握できた時の喜びは、何にも代えがたいものでした。

数は少ない手巻き式腕時計、ぜひ皆さんも手に入れる機会があれば実際に毎日巻き上げて、その感触を確かめ、楽しんでください。きっと機械式時計の新たな魅力を発見することができるはずです。

Text:Goro Ando



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