店では推しホストにいかにお金を使うかで見栄や優越感を競うのが当たり前の世界。
「乃亜ちゃん、来月俺誕生日なんだ。バースデーパーティやるから絶対来てよ」
「他の子なんてどうでもいいんだけど、乃亜ちゃんいないと俺寂しいからさ」
「うん、わかった。じゃあ……シャンパンタワーとか入れちゃおうっかな〜」
と、80万円もするシャンパンタワーも見栄を張るために即決でオーダーした。
©Getty Images
当然ながら、会社員での給料と貯金ではすぐに底をついた。だが、どうしても直斗の気持ちを自分にむかせたい一心から、親、友人、さらに消費者金融にまで借金をしてホストクラブに通った。
しかし、ついに借金500万円の督促で首がまわらなくなり……。夢から覚めた。
「何をしているんだろう。そんなことをしても、直斗は営業で私に接しているだけなのに。わかっている、私は、いいカモだ。毎回カモられているだけだ。どうしよう、この借金……」
返済に困った乃亜は、会社の管理が甘いことをいいことに、ジュエリーや時計をくすねようとした。自分が在庫管理をしている時間ならバレにくいかもしれないと、時間を見計らいながら手を出した。
その様子を、加奈が目撃していた。
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