ナオトの配信を毎日のように聞いて、放送が休みの日には過去の録画を視聴している梨花は、ナオトの今日の声に些細な変化を感じ、そうコメントしたのだった。そして、即座にナオトが反応する。
「あ、リンキー今日もコメントありがとう。いやぁ、やっぱりいつも見てくれてる人はすごいね! 実は冷房つけっぱなしで寝ちゃってさ、今日はのど飴舐めながら対策して、気づかれないと思ってたんだけど……姫たちには気づかれちゃうかな」
そう言いながら、画面の中のナオトは王子様ルックで照れ臭そうに頭をかいている。
その姿を見て梨花は、ハッと「ナオトの中に人間がいるんだ」という当たり前のことを感じたのだった。
私はいつも無意識に、ナオトと呼ばれる青髪の王子様を見ていたけれど、中身は生身の人間で、ときに不調もあるのだ……ということを実感すると共に、誰よりも先にいち早くナオトの違和感に気がついたことに嬉しくなり、今ここでコメントしている誰よりも自分こそがナオトのファンなのだと言って回りたい気持ちに駆られた。
そんなことを思っていると、ナオトは「ということで、今日は喉の調子が悪いから短いけどここまで。明日もまたみんな聞いてくれよな、アデュー!」と言い、配信を終了したのだった。
さて、今日のお楽しみもここまでか。時間は既に夜11時、夫も娘も寝室に消えた後だ。風呂に入ろうかと梨花が思ったその瞬間、スマホの通知音が鳴った。
Text:女の事件簿調査チーム
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