惹かれるのはカタチ
ひさこ先生：影響された作家って、いらっしゃいますか？
野口寛斉：まずはルーシー・リーを見て”おーっ”と思って、いろいろ掘っているうちに静かで、より彫刻的なものに興味を持っていってハンス・コパーに惹かれました。影響を受けて、釉薬や化粧を研究したりしましたね。
カタチに惹かれて目がいくタイプなので、それを邪魔しない作り、引き立てる色だったりを考えていきます。
ひさこ先生：土は、どんなものを使っていますか？
野口寛斉：さすがに掘りには行けないので、買ったものです。当初はいろいろと試しましたが、今は３種類を独自でブレンドしたものを主に使っています。九州出身で唐津焼に影響されているので、唐津は絶対に使いたくて。
ただ、唐津だけだと大きなものは作りづらかったり、耐火度に問題があるので、成形しやすいように信楽の土を混ぜて使ってたんです。ところが、それだけだと弱くて薪窯に入れたときに相当割れました。
なので、（山田）隆太郎くんにアドバイスを求めて、五斗蒔土（ごとまきつち）をブレンドするようにしました。
ひさこ先生：割れて悩んだ時期もあったんですね。
野口寛斉：原土寄りのザラザラした土を使ってたんで、言うこと聞いてくれなくてヒビ入ったり割れたり、悩みました。ロスがなくなってきたのは、ここ最近です。
FORZA：陶芸家を目指している上で挫折というか、道半ばで諦めそうになったことはありましたか？ もうシンドいなぁとか。
野口寛斉：失うものがなかったし、怖いものもなかったので、絶対にイケるとしか思えなかった。逆に今の方が、少し上手くいき始めて怖さが出てきました。迷子になりそうですよね。
FORZA：現時点ではオンラインを軸に、個展などで販売しているわけですか？
野口寛斉：個展は１年に１〜２回くらいで、そんなに多くないです。あとは面白そうな展示に誘って頂ければ、それに出展するくらい。ただ、グループ店にもあんまり誘って貰えないんですが…。
ひさこ先生：勝手にですが、個展しかやらないイメージでした。
