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葬儀が終わると、顧問弁護士から話があった。
「お父様からの遺言書をお預かりしております。皆様お揃いの時に開封いたしますので、奥様の麻子さまも含めご予定してください」
和巳が赴任先へ戻ることもあり、遺言書の開示はすぐに行われることに。
遺言書には、誠司の財産は麻子と子供達3人で法定通りに分けること。と書かれてあった。
法定通り?
祥子は焦った。麻子は今、誠司の妻という立場だったことをすっかり忘れていた。誠司が麻子と知り合って間もなくても、麻子を妻に迎え入れたのがつい最近だとしても、法定には「妻の遺留分」があるのだ。
法定通りの「妻の遺留分」とは誠司の不動産、金融商品、現金など全てを含めた財産の1/2が妻の分であり、その残りの半分を子供達で分割するということなのだ。子供達の3人の相続分は麻子が入ることにより全体の1/3ではなく、1/6になってしまう。
誠司の財産は個人資産でも金融の他に、ビル1棟、自宅、別荘があり10億はあるはず。その半分を麻子が相続するというのだ。
これには和巳も憤慨した。
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