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FASHION 百“靴”争鳴

君は世界唯一のアニリン染めコードバンを知っているか。Vol.1

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革製品は食肉文化の副産物です

ヴィーガンを否定するつもりはありません。否定するつもりはありませんが、ぼくは肉も食べるし、革製品も使います。人間は罪深い生き物で、有史以来動物の皮を剥ぎ、肉を捌いてきました。天の恵みを余すことなく使うことを考えて生まれたのが皮革の文化です。なにが正義か、という問いでは出せないものだと思います。

ファッション誌などでは、鞣製の対象が農耕馬から食肉馬に代わってコードバンが薄く小さくなったと説明されています。これは半分正解で、半分不正解です。農耕馬に比べれば たしかに食肉馬の尻は貧相ですが、いまもむかしもタンナーが鞣してきたのは食肉馬です。

鞣しという概念が生まれた黎明期には農耕馬が使われていたかも知れません。しかし産業として成立させようと思えば農耕馬では賄えません。人工的に大量に育てている馬じゃないんです。そのはじまりから食肉馬を対象としてきた以上、農耕馬と食肉馬を比較することは意味がありません。

ただ、食肉馬そのものが貧相になっているのは否めません。ちかごろは たっぷり成長させてから肉にしたり革にしたりする余裕がありません。餌代や燃料代を考えたら若いうちに屠殺したほうがいいんです。

馬といえばサラブレットが有名ですが、この馬からはコードバンは採れません。コードバン層が生成されるのは重馬種(1トン)から。サラブレットは軽馬種(400〜500キログラム)に分類されます。馬の革にはコードバンとホースハイド(臀部以外の部位を鞣した革)がありますが、ホースハイドはサラブレットからも採れます。

新喜皮革の凄み

コードバンは姫路の名門老舗、新喜皮革から仕入れています。欧米のそれと比べても新喜皮革は別格です。

古き良きピット槽でじっくり鞣したコードバンは どこまでもしなやか。海外のものを試したこともありますが、グレージングを行うとガチガチになりました。

タンニン鞣しの原料をミモザ一本に絞っているのも大きなプライオリティです。原料としては ほかにケブラチョやチェスナットが知られます。たとえばケブラチョで鞣されたコードバンはグレージングすると地色が濃くなる。ひるがえってミモザは、どこまでもみずみずしい。

新喜皮革との取引を開始して、すでに四半世紀を超えました。

 

Vol.2につづく

レーデルオガワ(れーでるおがわ)
1971年、小川三郎が東京都内の染色工場の一角を間借りし、小川染工所の名で独立。1974年、千葉県流山市でレーデルオガワを創業。1990年、アニリン染めコードバンが完成。2017年、千葉県柏市に工場を移設。2021年、レザーグッズブランド、ユニコーンをローンチ。


【問い合わせ】
レーデルオガワ
04-7137-9244
https://leder.co.jp

Photo:Simpei Suzuki
Text:Kei Takegawa
Edit:Ryutaro Yanaka



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