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FASHION 百“靴”争鳴

君は世界唯一のアニリン染めコードバンを知っているか。Vol.1

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百靴争鳴。日夜美しい靴作りに情熱を燃やし合う、異色の靴職人たちへのインタビュー集。

ガンゾ、土屋鞄、キプリス――日本を代表するレザーグッズブランドがこぞって仕入れているのがアニリン染めのコードバンであり、これを一手につくっているのがレーデルオガワです。

創業者の孫で専務の飛田英樹さんがその魅力をたっぷりと語ってくれました――

コードバン本来の輝きを生かし切る染色技法

レーデルオガワは祖父の小川三郎が創業したコードバン専門のフィニッシャーです。フィニッシャーとはクラスト(鞣されたコードバン)を染色し、仕上げる工場のこと。レーデルオガワの要となるアニリン染めのコードバンは三郎が1990年に完成させました。

コードバンの染色はオイル仕上げがポピュラーです。 オールデンとセットで語られるアメリカのタンナー、ホーウィンが考案したといわれる仕上げですね。染料とオイルをブレンドした液体に漬け込むドブ漬けが勘どころで、オイルが繊維の奥まで入ったコードバンは すこぶる柔軟性に富みます。

アニリン染めは染料のみで色を入れる仕上げをいいます。最大の特徴はコードバン本来の輝きを生かすところにあります。

製造工程は手前味噌ながら まさに手間暇をかけています。そのプロセスは大きくわけて脂入れ、乾燥、削り、グレージング(艶出し)、染色、仕上げからなります。一つひとつみていきましょう。

革の個性を生かすなら手作業が一番です

脂入れは文字どおり脂を入れて潤いを与えるプロセスです。一般にはドラム(鞣し、染色、加脂などあらゆる工程に使う回転式太鼓型機)が使われるプロセスですが、ぼくらは一枚一枚、手作業で行っています。

革は生き物。個性にあふれます。この個性を尊重しようと思えば、手作業が唯一無二の選択です。

クラストは脂と水を入れたバットに浸され、揉みこまれ、余分な油分はスリッカーという工具で取り除かれます。脂は三郎オリジナルのレシピでつくられたもの。原料は魚脂や豚から採れるラードです。スリッカーも三郎がつくりました。鉄のプレートを木に挟んでいます。

バットに浸す時間もスリッカー作業も温度や湿度を踏まえることが なにより肝要になってきます。蕎麦を打つ職人は蕎麦粉に加える水の量を都度変えますよね。それとおんなじです。このプロセスにかける時間は均せば10分ないくらい。持ちあげたときの重さで浸透具合を判断します。

コードバンの出来不出来は ここで8割、9割が決まるといって過言ではありません。

担当はまだ3年目ですが、その腕前は申し分がありません。あと1年もあれば完璧な脂入れ職人になることでしょう。

え、コードバンの基本のところを知りたい? そうでしたそうでした。脂入れは午前中の作業なので気が焦ってしまいました(笑)。



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