陶芸家Keicondoらしさを築き上げるために
ひさこ先生:独立してから、Keicondoらしさというのは、どう形成していったのですか?
Keicondo:いまでこそコンセプトは固まってきていますが、最初は定まっていなかったので、食器だけでなく、ボリビアで見てきたエッセンスなんかも織り交ぜて、面白みのあるコップなど、ただただ作りたいものを作っていました。
それをイベントなどで売っているうちに少しずつお客さんが増えてきて、買ってくれた方の意見や実際に使ってみてのフィードバックを聞いているうちに、なんとなく定まってきた気がします。
一番大きかったのは主婦や料理人の意見で、彼らの感想に応えるのが一番やりがいを感じたし、楽しかったので、料理のためのうつわが増えてきた感じです。
FORZA:消費者との対話に育てられたわけですね。
Keicondo:それまでも作る喜びはありましたが、そこに使った人が喜んでくれるのを知れた喜びが重なって、より成長できました。
FORZA:自分の中で陶芸家としての自信というか、生業にしていけると確信を持てたのはどれくらい経ったときですか?
Keicondo:5年くらいかかったかな。一本で食べられるまでには。田舎で生活費がそれほどかからないというのにも助けられました。
FORZA:その間に挫折とか悩みはなかったんですか?
Keicondo:大きな挫折はなかったです。いまでもですが、陶芸命ってわけでもありませんし、作るのが好きだから もしかしたら木工だったり鉄工だったりに変わるかもしれませんけど、現時点で一番しっくりきてるのが粘土なんです。あとは、縁と出逢いに救われてたというのも大きいですね。
後編へつづく。
Keicondo
大学卒業後1年ほどのサラリーマン生活を経て、茨城県窯業指導所(現・茨城県立笠間陶芸大学校)に入所して陶芸を学ぶ。その後、JICAの海外派遣に参加し、2年間南米ボリビアで陶芸を指導。帰国後にアトリエを開いて独立し、人気の作家に。1981年、茨城県笠間市生まれ。
https://www.instagram.com/keicondo/
行方ひさこ
ブランディングディレクター
アパレル会社経営、デザイナーなどの経験を活かし、ストーリーやデザインなどの一貫したコンセプトワークを行うことでトータルでブランドの向かうべき方向を示す。食や工芸、地域創生などローカルに通じる幅広い分野で活動中。
https://hisakonamekata.com
https://www.instagram.com/hisakonamekata
Photo:Shimpei Suzuki
Direction:Hisako Namekata
Edit:Ryutaro Yanaka