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【ハロゲイト 松田哲弥】丸2年家に帰らない!? クレイジーな下積み時代を通してたどり着いた木型つくりの高み。最終回

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2年間まるきり家に帰らなかった

社員だったのは3〜4年といったところです。この時代は ほとんど会社に寝泊まりしていました。たった3人の部署で、目のまわる忙しさだったからです。

木型を削ると木型メーカーに出す。戻ってきた木(=モク。荒削りの状態の木型)の仕上げをする。この繰り返しが延々とつづきました。

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2年は まるきり家に帰らなかった。ええ、ただの1日も、です。風呂は事務所の簡易シャワーを使いました。久しぶりにお会いしたアパートの大家さんは事件に巻き込まれたんじゃないかと心配していたといいました。でも、家賃は振り込まれるしなぁと悶々としていたとか(笑)。

我が家は電気がとまっていました。驚いたのは水道。トイレは干上がっていましたが、流しの蛇口をひねると水が出ました。水道は払っていなくても使えるんですね。

泊まらざるをえない仕事量だったのは確かですが、みずから望んでいたところもあります。というのも木型のことがわかってくると、手がけている木型が どうにも野暮ったくみえてきたんです。ひるがえって海外の木型は じつに美しい。寸法を測ってみると、教わった設計思想とはまるで違う。だけど、その数値にしたがって削ってみるとやっぱり美しい。

どうやら日本の常識は世界の非常識だぞ。そう気づいた自分は木型の正解を追究しなければならなかったのです。というか、追究したくて仕方がなかった。

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そのころの睡眠時間は3時間。自然と目が覚めちゃうんです。目が覚めたら、酒を呑むか木型を削るかしていました。まったく生活に支障がなかったので自分はいわゆるショートスリーパーだと思っていたんですが、どうやらそうではなかったようです。いま思えば木型にのめり込んでいたということなんでしょうね。



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