究極の素材を、究極のシンプルなデザインで
いまだ「FIXER(フィクサー)」の素性は謎のままですが、新作が入荷と聞くたびにカラダが反応してしまいます。そう、まるでパブロフの犬(苦笑)。今回もサンプルを取り寄せて自宅に届いたダンボールを開けてみると……ヤバい、ヤバすぎる。僕のなかの本能が、そう語りかけてきます。
箱の中にあったのは、以前購入したライダースジャケットの「F1」と「F2」。でも、感じがまったく違う。な、なんと素材がスウェードになっているじゃありませんか!! 表革はハードで骨太なイメージだったのに対し、こちらはぐっとシックで落ち着いた印象。同じデザインなのに、素材でこうも変わるとは正直驚きです。
オリジナルジッパーも、スエードのおかげでインパクトが和らいで見え、余裕のある雰囲気を醸し出しているし……。すでに何着もあるのに、性懲りもなくこの秋もライダースが増えてしまいそうです。
大物のライダースをひと通りチェックしたところで、その下にベルトとシャツがあるのを発見。ベルトは、バックルにパラジウムコーティングと925 SILVERを使った2タイプあり、いずれも控えめにロゴが施されています。使い込むほどに味わいが増しそうなレザーもいい感じ。
一方のシャツは、小ぶりな襟とスリムなシルエットで、イメージ的にはモード7:クラシック3といったところでしょうか。いずれも、究極の素材を、究極のシンプルなデザインに落とし込むことを真骨頂とするFIXERらしい仕上がりです。
通常のファッションブランドは、シーズンによって打ち出すテーマやスタイルがあって、それにもとづいた商品構成になっているわけですが、FIXERの場合は何が出てくるのか予測不可能。おそらく、そのときどきで自分たちが着たいもの、欲しいものをラインナップしているんでしょうね。いいライダースができたから、それに合わせるアイテムを出してみようとか。
いまの時代、徹底的にマーケティング調査をして、ターゲットに向けたものづくりをするのが当たり前になっているなか、こんなふうに自分たちの好きなものだけつくって成立させているブランドはほかにありません。世の中のトレンドに流されないという強い意志を感じるし、ブランドプロフィールを一切明かさないのもきっと製品だけで勝負したいという思いからだろうし。そういう姿勢もカッコよくて、ファンにはたまらない魅力になっているんですよね。
ライダースジャケット「F1」28万6000円
ライダースジャケット「F2」30万8000円
*
ベルト(パラジウムコーティング)7万1500円
ベルト(925 SILVER)14万3000円
*
シャツ 3万9600円
【問い合わせ】
Alto e Diritto
052-253-7718
MINIMAL WARDROBE
Photo:Ikuo Kubota(OWL)
Text:Toshiaki Ishii