CAR 得するクルマ生活

ルノールーテシアが隠れ名車といわれる理由をご存じ?

安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

昔から、フレンチハッチというジャンルで親しまれてきた、フランス製の小型ハッチバック車たち。プジョー205GTi、ルノー106S16などアツい車もあるけれど、現地で普通に乗られている、いやフランス人が最も買っているフレンチハッチ、ルノーのルーテシア(欧州名はクリオ)はその代表だ。全長4100mm以下のコンパクトカーが所属する欧州Bセグメントのジャンルで、2020年の登録台数1位を獲得した、ルーテシア。総合順位でもゴルフに続いて2位と、売れに売れている。

現在販売されているのは4代目(クリオとしては歴代5代目)、日本では2020年12月より販売開始となった。欧州ナンバーワンのフレンチハッチバック、ルーテシアの魅力に迫ってみよう。

 

■全幅1.8メートルのワイドなコンパクトカー

ルーテシアは、ボディサイズ的にはホンダフィットや日産ノート・ノートオーラなどと同じく、コンパクトカーにカテゴライズされるが、実物をみると、結構ボディが大きく感じる。それもそのはず、ルーテシアは全長こそ4050mmとはいえ、全幅はほぼ1.8mに近い1798mm。前後のフェンダー周りのボリューム感が増して、非常にグラマラスだ。ひとつ上のクラス、VWゴルフとほぼ同じサイズ。

欧州Bセグメントとは、日本の5ナンバーサイズのような厳密なボディサイズの基準はなく、おおよそのサイズ感で分けられている。全長3800 mmから4200 mm、全幅は1695mmから1750mm程度のサイズであれば、「Bセグメント」と呼ぶ。

欧州地域では、狭い駐車スペースへ縦列にねじ込むために、バンパーを前後のクルマへ擦りつけていたようで(今では減ったようだが)、そのため、欧州のドライバーはクルマの全長に対しては厳しかったようだが、全幅が広がる分には気にならないのかもしれない。それもあってか、衝突安全性、室内スペース向上、走行安定性などを目的に、どのメーカーも代を追うごとに車幅が広がっている。そのため、ルーテシアの成長っぷりもさほど驚かされなかったが、もうそろそろ成長も限界であろう。

 

■コンパクトカーとは思えない質感のインテリア

ルノーが「Cシグネチャー」と呼ぶC型のデイタイムランプとLED ヘッドライトは、上級車のメガーヌとも同じ意匠だ。力強く、スポーティで、シャープな印象があり、前方から見ればルノー車だということがひと目で分かる。リア周りはマッチョなリアフェンダーが目立った、ワイドスタンスなデザインとなっており、力強さが際立っている印象だ。

質感高く、使い勝手も考えつくされたインテリア

 また、フィットと同じクラスとは思えないほど、インテリアの質感も高く、使い勝手も考えられている。水平基調でシンプルな造形のダッシュボードは、見通しが良く、ドライバー側に傾けて設計されたナビゲーションモニタや、サイドサポートのしっかりとしたフロントシートなども良いポイントだ。昔からルノー車のシート作りは評価が高く、これを好んでルノー車を選ぶ人もいたほどだったが、今作でもしっかりと、つくりの良さが伺える。

メーター中央は7インチサイズのデジタルメーターとなる

パワートレインは、1.3リッター直列4気筒ガソリンターボのみだ。実は欧州版のクリオには、直4ガソリンターボの他にも、直列3気筒ガソリン、直列3気筒ガソリンターボ、直列4気筒ディーゼルターボ、そしてE-TECH(ハイブリッド)など、欧州車らしくバラエティに富んでいるのだが、日本向けには絞ったようだ。最も質感が高く、そしてコストのバランスがとれた、「珠玉の一基」を選んだのだろうが、日本市場が蔑ろにされているかのようにも思え、すこし寂しくも感じる。

 

■スポーツハッチのルーテシアR.S.は今後登場か?

ルノーのスポーツモデルといえば、シビックタイプRとの激戦をしているメガーヌR.S.の活躍ぶりは有名なところだが、もう一台、ルノーファンが待ち遠しくしているのが、ルーテシアR.S.(ルノースポール)だ。ルーテシアをベースに、モータースポーツを担当する部署「ルノースポール」が、エンジンやシャシーなどに手を入れ、超身軽でパンチのあるホットハッチに仕立てているモデルだ。

こちらは先代クリオのRSバージョン、そのなかでも特別な、ルノーのF1参戦40周年を記念したモデルRS16

欧州市場でも、新型のクリオR.S.はデビュー間近とされているが、まだ登場していない。筆者は、東京オートサロン2021が予定されている2021年11月ごろと見込んでいるが、はたしてどうなるか。

最もベーシックな「ゼン」は236万9000円、ミドルグレードの「インテンス」は256万9000円。現時点は、上級グレードの「インテンステックパック(276万9000円)」は、コロナ禍による半導体不足によって受注停止となっているが、日本製のコンパクトカーとは異なる、小粋なフレンチコンパクトハッチとして、ルーテシアはいま注目されている一台だ。確かに国産の同クラスと比べれば高価かもしれないが、国産にこのような上質な車がないことを考えれば、売れている理由がわかる。小さい=チープ、という古いヒエラルキーに属さない人が買っているのだ。素直に嬉しい事象ではないか。今度、隣に並んだルーテシア・オーナーに親指を上げてみようかな。

ルノールーテシアの公式サイトはこちら

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:RENAULT JAPON
Edit:Takashi Ogiyama

吉川賢一ポートレート吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。


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