車には、実に様々な「スイッチ」があります。特に近年の車は、エンジン始動をはじめ、パーキングもスイッチとなっている場合が多い。ホンダの一部車種では、シフト切り替えはすべてスイッチ操作となっています。
これらはよく使うスイッチ類ですが、運転席周辺には、「これ何のスイッチだっけ!?」と、その存在や使い方を忘れてしまうようなスイッチもいくつかあります。普段日の目を見ることが少ないスイッチたちを取り挙げ、使用シーンなどを再確認していきたいと思います。普段使っていないだけに忘れがちだが、「いざ」というときに重要なスイッチたちばかりです。
■横滑り防止装置オフ
いつ使うのかよく分からないスイッチかも知れませんが、このスイッチは、ぬかるみや雪溜まりのような悪路から脱出するため、横滑り防止装置システムをいったんOFFにして、エンジン出力を最大限使う、というときに使うスイッチです。
通常走行時は常にONにするのが推奨なので、特殊なトラブルが起きない限りは、触れることもないスイッチですが、万が一の場合に備え、どこにあるのかは把握しておく必要があります。
■電動パーキングブレーキ作動
近年の新型車の多くが装備している、電動パーキングブレーキ(以下、E-PKB)。スイッチ(もしくはレバー)でパーキングブレーキを作動(もしくは解除)させることができるスイッチですが、近年のE-PKBは、エンジンを切れば自動でパーキングブレーキが作動するようになっているため、スイッチ(レバー)を操作する必要がなくなっています。
もちろん、レッカー移動の場合などに解除ができるよう、E-PKBスイッチは無くてはならない存在ではありますが、E-PKBスイッチがセンターコンソールの「一等席」にレイアウトされる必要は、ないのかもしれません。
■ドライブモード切替
「山坂道ではスポーツモード、一般道ではコンフォートモード」といった具合に使い分けよう、と思うのは、最初だけ。普段の「足」として車を使っていると、ドライブモード切替など、そのうち面倒になり、3か月もするとすっかり使わなくなります。
車は、通常モードが最もバランスよく走行できるように、つくりこまれています。無理に使う必要のないスイッチなので、このスイッチに関しては、興味のない人は全く触れる必要はありませんが、「そういえば、購入当時に切り替えて楽しんだけど、最近は全く使ってないや……」という方は、もう一度使ってみてください。
モード切替スイッチは、車の特性をガラッと変えることができ、乗りなれた愛車の違う一面を思い出すことができるかもしれません。
■スノーモード
凍結路面や積雪路面といった、滑りやすい環境を走行する際、「オン」にするのがこのスイッチです。が、逆に言うと、それ以外の環境では使うことがないといえます。雪が多い地方に住んでいる方は、凍結路や雪路でのクルマの発進に慣れているためにアクセルの踏み方が上手く、そもそも不要だったりも。
しかし、都心部であっても大雪に見舞われることもあるし、ふと出かけた先で、圧雪路に遭遇する可能性もあります。タイヤが滑って進まなくなってしまった場合の対処法として、万が一の場合に備えて、頭にいれておくべきスイッチなのです。
■リアワイパー
セダンタイプのクルマにはついていることが少ないリアワイパーですが、その他の多くのクルマには装備されています。しかし、雨の日に街を走っていても、リアワイパーが動いている車に出くわすことはあまりなく、「使うことがなくはないけど、まれ」という方が多い装備のひとつのようです。
なかには、自分のクルマなのに「リアにもワイパーがある」ということを忘れている人もいるほど。安全装備のひとつなので、しっかりと認識し、たまには動かして作動状況をチェックしておくこともお忘れなく。
■まとめ
車を運転するドライバーならば、自分の車くらい、しっかり使いこなしておきたいもの。使いこなしている自信がない方は、一度、愛車のスイッチ類を確認してみては? ひょっとすると、「こんな便利な機能があったのか!!」という発見があるかも知れません。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Getty Images,HONDA,MMM-Production
Edit:Takashi Ogiyama