7月に入り、大雨による被害がつづいています。梅雨が明けても、ゲリラ豪雨や夕立が発生しやすく、また台風のシーズンでもあることから、気の抜けない時期がつづきます。雨の日は、なんと晴れの日の約4倍も、交通事故が起きています(首都高速道路株式会社調べ)。
交通事故は、運転初心者や、運転が得意でない人だけが起こすものではありません。運転に慣れた方にこそ伝えたい、雨の日の運転で気を付けるべきポイントをご紹介します。
■日頃のチェックで、雨の日の運転は変わる!!
まず心掛けたいのは、日頃から愛車の状態をしっかりと把握しておくこと。ワイパーゴムが劣化していないか、フロントガラスに油膜が付着していないか。普段から状態を把握し、常にベストな状態でクルマを走らせる、という心掛けが重要です。
洗車をしたときなどにチェックする習慣がつくと望ましいですが、そうもいかない場合は、自動車ガラス専用の即効性撥水スプレーを、一本常備しておくと安心。効果は一瞬ですが、緊急時の対策としてはおすすめです。

さらに大切なのが、タイヤの残り溝の確認と空気圧チェック。あなたは、いま乗っている車の4つのタイヤの溝が、それぞれ何ミリ残っているのか、把握していますか? 空気圧のチェックはいつ行いましたか? これらタイヤの管理がしっかりなされていないと、雨の日の運転でもっとも恐ろしい、ハイドロプレーニング現象に陥る可能性があるのです。
■恐ろしい「ハイドロ現象」を避けるには、一にも二にも「タイヤ」!!
ハイドロプレーニング現象とは、地面とタイヤとの間に入った水分が、タイヤを浮かせてしまう現象のこと。ハイドロプレーニング現象は起きてしまったら最後、ハンドルが軽くなり、進路修正はできなくなります。車速が自然と落ちてグリップが回復するのをじっと待つしか、なす術はありません。決して、ブレーキングや、カウンターステアをして復帰させようなどとは、考えてはいけません。この恐ろしいハイドロプレーニング現象を避けるには、「溝があって適切な空気圧のタイヤを使うこと」、「速度を出し過ぎないこと」の2つです。
雨によって路面に水が溜まっているとき、タイヤは、路面の水分をタイヤの溝に掃き出すことで、路面と接地するようになっています。そのため、タイヤの溝が減っていたり、深い水たまりを走行した場合には、水分が十分に掃き出すことができず、ハイドロプレーニング現象に陥ってしまうのです。

その予防には、普段から、タイヤ4輪のそれぞれの摩耗状況を把握しておくことです。なかでも摩耗が進みやすいのはフロントタイヤですが、左右のタイヤで摩耗に違いが出たりもしますので、4輪を把握しておくことが大切です。当然、スリップサインが出たタイヤはNG。すぐにタイヤ交換をしてください。
ちなみに、道路運送車両の保安基準では、四輪自動車はタイヤの接地部の全幅にわたり、滑り止めためについている凹部のいずれの部分においても1.6mm以上の深さを有すること、と定められています。タイヤの内減り、外減りは関係なく、この基準を満たさなければ即アウトです。
また、タイヤの溝が十分残っていても、空気圧が低いと、排水効率が落ちてしまいますので、車両の規定に合わせた空気圧に、日頃から調整しておくことも大切です。
■エアコンはONが基本!!
また、雨が降ると、空気中の水分が結露し、ガラスが曇ってしまいがち。雨の日は、フロントガラスのくもりが発生する前にエアコンを使い、視界に関する余計な心配事はなくすようにしましょう。エアコンから噴き出す冷風は、コンプレッサーによって除湿されているため、エアコンを使うことで、くもりを防ぐことができます。このとき、「内気循環モード」にしておくと、より効果的です。

それでもくもってきたな、と感じたら、デフロスターを使いましょう。デフロスターは、エアコンの風をフロントガラスに集中的に送風するので、一気にくもりが解消されます。
■クルマへの過信は禁物!!
最近のタイヤは、ウェット性能が向上してきていますが、スピードを出せば、ハイドロプレーニング現象はに起きます。性能の良い車だからと言って、調子に乗って速度を出し過ぎないこと、そして水たまりのある車線は出来るだけ避けて走行することが望ましいです。
まずは、いま乗っている車のワイパーとフロントガラスの状況、そして、タイヤの残り溝と空気圧をチェックすることから、始めてください。そして、雨の日は、いつも以上に車間距離を十分に取り、いつもよりもゆっくりとした速度で走行し、早めのやさしいブレーキを心がけてください。
Text:MMM Production,Tachibana Kazunori
Photo:AC
Edit:Takashi Ogiyama