今年も暑い夏がやってきました。昨年は、静岡県浜松市で国内の観測史上最高気温と並ぶ、41.1度を記録するなど、猛暑が続いた夏でしたが、今年もどうやら油断できない夏となるようです。さらに、昨年同様、マスク着用が求められる状況下ですので、体調管理には十分に気を付ける必要があります。
猛暑で気を付けなければならないことはいろいろありますが、炎天下に止めた車内への放置物もそのひとつ。真夏の炎天下におかれた車の中の温度は50度を超えることもあり、長時間放置することで、思わぬ事故に繋がってしまうことも考えられます。お子さんはもちろんのこととして割愛しますが、これからご紹介するモノは、真夏の車内へ絶対に残してはいけません!
■スプレー缶
車に常備しがちな虫よけスプレーや消臭スプレーなど、LPガスが使われているスプレー缶も、高温になると爆発する恐れがあります。LPガス含有のスプレー缶は、温められるとガスが膨張し、スプレー缶の内圧が高まり、限界に達すると爆発します。
昨年12月にキャンプをしていた方のテント内で、ガスボンベが爆発した事故が起きました。この時は、ストーブの近くにガスボンベが置かれていたことで、爆発が起きた、とされています。
もし車に放置したスプレー缶が原因で爆発が起きれば、被害は自身の車だけではなく、周辺の車や家屋、場合によっては、近くにいた通行人などにけがを負わせてしまうことも考えられます。冬場に使った凍結防止スプレーが車内に残っていた、という事例もあるようなので、今一度、車内を確認しておくことをお勧めします。
■アルコール消毒液
コロナ禍の影響で常備する方も多い、アルコール消毒液。買い物を終え、ハンドルを握る前に消毒を…ということも習慣化しているかと思いますが、車の中にアルコール消毒液を常備するのは危険です。
特にこれからの季節は、車内の温度が上昇することで容器が膨張し、破裂する可能性があります。気化したアルコール成分は、たばこの火や、静電気などの小さな火種でも引火する恐れがあり、大変危険です。車内や直射日光が当たる場所での(アルコール消毒液の)放置は、絶対にやめましょう。また、使用される際も、車外で使用するか、窓を開けた状態で使用するようにしてください。
■未開栓の炭酸飲料
未開栓の炭酸飲料(缶・ペットボトル)も、炎天下の車内で高温となると、炭酸ガスによる内圧が上昇し、変形・破損する恐れがあります。これら炭酸飲料には、砂糖が含まれていることが多く、それらが爆発によって車内に飛び散ってしまうと、ベタベタと甘い匂いが車内にまき散らされることになります。
これらは掃除をしてもなかなか落ちにくく、最悪の場合、クルマの買い替え、という事態にもなりかねませんので、油断なりません。飲み残した炭酸飲料の車内放置も、気を付けるようにしましょう。
■ノートパソコンやスマホなどの電子機器
クルマの装備である、カーナビなどは、耐熱、対冷却実験がなされていますが、ノートパソコンや携帯電話などは、高温になると保護回路が壊れ、バッテリーの膨張や、発熱・破裂・発火のおそれもあります。
JAFの実験(2012年8月、埼玉県で、気温35度の晴れの日に、午後12時から4時間、ミニバンを炎天下に放置)によると、サンシェードや窓を開けるなどの対策は、真夏の車内の温度上昇には大きな効果があるとはいえず、対策がない場合は50度を優に超え60度近い温度にもなるそう。「ちょっとだけ」であっても放置は禁物。放置された場所によっては、あっという間に発熱・発火のおそれがあります。
また、車上荒らしの原因にもなりますので、クルマから離れる際は、車内の状態をしっかり確認するようにしましょう。
■ダッシュボードの上は特に注意!
また、ダッシュボードの上は、車内で最も温度が上がる場所です。前出のJAFの実験では、サンシェードなしでのダッシュボードは、最高で79度にもなったそう。
一方で、サンシェードを使用した場合は52度。サンシェードは、車内の気温上昇抑制については、大きな効果がないものの、車の内装の表面温度には効果的、という結果が出ていますので、真夏の炎天下にクルマを止める際は、サンシェードを利用すると、より安心です。
■まとめ
真夏の炎天下に止めていた車に乗ると、革製シートやハンドル、シフトノブなどが熱々になっていることがあります。ほんのちょっとの買い物時間であっても、車内の温度は急激に上がります。面倒でも、上記で紹介したようなモノを置き忘れないように気を付けながら、サンシェードのような暑さ対策をしたうえで、お出かけすることをお勧めします。
Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:AC
Edit:Takashi Ogiyama