日本人は「みんなと同じが好き」という国民性だといわれます。たしかに街中を走るクルマを見ても似たような車ばかりを見かけますが、しかし、なかには「あまりにありふれすぎてて、もうちょっと、ちょっとだけ違う車がいいかも……」と考える方もいらっしゃるのでは? そんな方にお薦めしたいのが、「人気の輸入車」です。
国産メーカーの人気モデルほど、ありふれていないにも関わらず、同好の士も少なからずいて、トラブルに対するナレッジも共有できます。海外自動車メーカーの正規販売ディーラーもたくさんあるから、万が一故障した際も安心。しかも、価格も国産ミドルクラス車と、それほど大きくは違わないとなれば、選択肢に入ってきてもよいはず。
今回は、2020年に日本国内で販売された輸入車のうち、販売台数の多かったクルマTOP5をご紹介。いま日本で人気がある輸入車は、この5台なのです。
■ 第1位 BMW MINI(273万円~)
MINIは、2016年度から「日本で最も売れている輸入車」の座を守り続けているモデルです。2020年は、2位に約2倍もの差をつけるという、ダブルスコアでの1位(2万195台)となりました。MINIには、3ドア、カブリオレ、クラブマンなど、多様なタイプがありますが、それらを合算した販売台数での1位となります。

MINIは、やはり何といっても唯一無二の個性的なデザインが魅力。さまざまなボディタイプがありますが、どれをとっても「MINI」らしい個性を味わえる、というのが、ファンとしては嬉しいところ。そのうえ、パワートレインもガソリン、ディーゼル、そしてプラグインハイブリッドと多彩で、ユーザーに多くの選択肢が用意されているのも、多くの人から愛される理由のひとつかもしれません。
伝統的なイメージのクルマですが、アクティブ・クルーズ・コントロールなどの運転支援機能はもちろんのこと、コネクティッドシステムやデジタルメータが装備されるなど、先進技術も主張しすぎることなく強化されており、伝統的なキャラクターを洗練することで、根強い人気を維持した結果が出たと考えられます。
■第2位 メルセデスベンツ Aクラス(362万円~)
前年の4位から、2位(1万673台)へと大躍進した、メルセデスベンツのエントリーモデルである、Aクラス。最近は街中でよく見かけるようになってきました。この車の人気の理由は、なんといっても「圧倒的な先進性」でしょう。

特に、運転席の目の前にある、10.25インチの横長のフル液晶メーターは、先進性を感じるだけでなく、機能も多彩。また、「ハイ、メルセデス」とクルマに話しかけることで、AIを使ってエアコンやナビの操作ができる「MBUX(メルセデスベンツユーザーエクスペリエンス)」も魅力です。
また、ジェットエンジンを連想させるエアコンの吹き出し口や、センターコンソールに設置されたインフォティメントシステムの操作系など、運転席に座るたびにワクワクするような演出も用意されています。
MINIのクラシカルなデザインとは逆に、未来的なデザインと、最先端のデジタル技術で大躍進したAクラス。今後の進化も期待してしまうクルマです。
■第3位 VWゴルフ(259万9000円~)
先日、日本でも8世代目となる新型が登場した、ゴルフ。2019年の2位からひとつ順位を落とした3位(1万264台)となってはいますが、欧州では、すでに2019年12月からこのゴルフ8が発売されていたことを考えると、いつ新型が登場するかもわからないモデル末期でありながら3位ランクインは、ゴルフ人気の根強さがうかがえます。

ご存じの通り、ゴルフは世界的にも圧倒的な人気を誇るモデルであり、新型であるゴルフ8は、2020年の欧州販売台数で、2位のルノークリオ(約24万台)に4万台もの差をつけて、ナンバー1(約28万台)を獲得する人気ぶり。日本国内でも、2012年から2015年までは輸入車販売台数で1位、2016年以降、MINIにトップの座を明け渡してはいますが、2019年までは、2位にランクインし続けきました。

新型となったゴルフ8も、歴代ゴルフが守ってきた、完璧なまでのクオリティがしっかりと引き継がれており、華々しさは感じられないものの、質実剛健で、走りの次元は他社車を圧倒しています。新型であるゴルフ8の国内予約受注は、約1か月で受注台数1000台を超えるという人気ぶりだそうで、2021年は6年ぶりに首位奪還、となるかもしれません。
■第4位 VW T-Cross(278万円~)
2020年1月から発売されたコンパクトSUVが、堂々の4位(8930台)となりました。世界的なSUVブームのなか誕生した、VWのSUV三兄弟(Tiguan、T-Roc、T-Cross)の末っ子です。

輸入車にもかかわらず、300万円を割るリーズナブルな価格と、VWらしい質実剛健なつくり込みに加え、最小回転半径もなんと5.1mと小回りが効き、扱いやすさも備えたバランスの良い車です。ポロをベースとした基本骨格は、全長4115×全幅1760×全高1580mm、ホイールベース2550mmの寸法。ヤリスクロス(4180×1765×1560、WB2560mm)とほぼ同じくコンパクトなサイズで、日本の道路事情にもぴったり。
さらに、ゴルフなど上位車種にも備わるフルデジタルメータークラスターや、運転支援機能などの先進機能も選択できる、懐の深さも魅力です。
■第5位 BMW 3シリーズ(495万円~)
2019年の6位から、5位(8505台)に1つ順位を上げてきた、BMW 3シリーズ。現行モデルは、2019年3月に発売されたもの。ライバルのCクラス(2020年:9位、2019年:3位)に大差をつけての5位ランクインとなりました。

スタイリッシュなデザインに加え、ガソリン、ディーゼル、プラグインハイブリッドと幅広い選択肢が用意され、高速道路上の渋滞時のみ、ステアリングから手を離しても走行可能な「ハンズ・オフ機能付き 渋滞運転支援」も備えています。歴代BMW3シリーズと同様、切れの良いハンドリング性能は、このカテゴリのナンバー1といえるでしょう。
日本でも、間もなくフルモデルチェンをした新型Cクラスが発表となります(6/19現在、先行予約エントリーが開始)。この2台の戦いは非常に楽しみなところです。
■まとめ
その他6位以下の順位は以下の通りです。近年は、輸入車も日本国内で販売されているものは、ほとんどが右ハンドル仕様であり、正規ディーラーが国内に増えたことなどもあって、輸入車に対するハードルは下がってきています。
「そろそろ次の車を……」とお考えのかたは、ぜひ輸入車も検討してみてください。選択肢が広がって、クルマ選びが楽しくなるでしょう。

Text:Kenichi Yoshikawa
Photo:Getty Images,BMW,Mercedes-Benz,Volks Wagen
Edit:Takashi Ogiyama