まだまだ眠っていたいのをガマンし、なんとか頑張って起きた日。
「寝ても寝ても眠い」「なかなか寝つけない」「ぐっすり眠れない」「スッキリ起きられない」など、それほど深刻ではなくても睡眠の悩みは多くの人が持っています。
日々忙しく過ごしていると、ただでさえ睡眠不足になりやすいうえに、慢性的に睡眠が足りていないことに気づかないケースも多いのです。
快眠が得られれば、からだも心も軽く、仕事もプライベートタイムもさらに楽しくパワフルに過ごせることでしょう。ジワジワくる「だるおも」とも縁が切れるかもしれません。
実は睡眠の悩みは、ちょっとしたコツで解決できる可能性があります。
ぜひ参考にしたいのが「睡眠障害対処12の指針」。睡眠障害を予防するためにできることとして、厚生労働省の研究班によってまとめられたものです。
この12ヵ条はぐっすり眠ってスッキリ目覚めるため、今すぐ実行してほしい生活習慣ばかり。サプリのようにお金もかかりません。これらに沿いながら、具体的な生活上のポイントを解説しましょう。
第1条:睡眠時間は人それぞれ、日中の眠気で困らなければ充分
たくさん眠らないとダメな人もいればショートスリーパーの人もいます。睡眠は、とても個性的なものというわけです。ある人にベストな睡眠時間が自分にとってもベストとは限らない、と心得て自分に合った睡眠時間を見つけましょう。
第2条:刺激物を避け、眠る前には自分なりのリラックス法を
コーヒーやチョコレートなどカフェイン入りの飲み物・食べ物は覚醒作用があるため、ベッドに入る4時間前まで。喫煙も眠る1時間前までにしましょう。
寝つきが悪い場合は、内容が軽めの本を読む、お気に入りの音楽を聞くなどリラックスを心がけて。
第3条:眠たくなってから床に就く、就床時刻にこだわりすぎない
翌朝のプレゼンのことを考えて「眠らないと!」と意気込み、眠くもないのにベッドに入ると、かえって寝つけなくなってしまうことも。そんなときは一旦あきらめ、布団から出てリラックスできることを。そのうち眠たくなってきたら、また寝床に入りましょう。
第4条:眠りが浅いときは、むしろ積極的に遅寝・早起きに
だらだら眠っていると睡眠が浅くなり、体の疲れがとれず、頭もぼんやりしたまま。
そういう場合は、「早寝→早起き」 ならぬ 「遅寝→早起き」 で、睡眠時間を圧縮しましょう。睡眠時間を短くすると、深い睡眠が多くなるのです。
第5条:
睡眠中の激しいいびき・呼吸停止や足のぴくつき・むずむず感は要注意
以前は豪快さの象徴くらいとしか思われていなかった「いびき」ですが、実は睡眠時無呼吸症候群などの病気が隠れていたりします。また、夕方から夜にかけて、足がピクついたり、ムズムズしたりして眠れないときも、病気の可能性があるため受診してください。
第6条:睡眠薬代わりの寝酒は、不眠のもと
適量のアルコールは、たしかに寝つきをよくしてくれます。しかし、深い睡眠が減ってしまううえ、トイレのために夜中に目覚めやすくなり、結果として睡眠の質が悪くなってしまいがち。寝酒を習慣にするのは避けましょう。
第7条:睡眠薬は、医師の指示で正しく使えば安全
睡眠薬を飲むときは、眠る準備を整えておき、ベッドに入る30分くらい前に服用します。毎晩飲むか、眠れないときにだけ飲むかは主治医とよく相談して決めましょう。
なお、勝手に睡眠薬をやめないでください。主治医の指示どおりにしないと、思わぬ副作用がでることもあります。
第8条:毎日同じ時刻に「起床」する
起きる時刻が毎日一定であれば、体内時計のリズムもしっかり整います。
起床時刻がフリーの休日、ゆっくり眠っていたい気持ちはわかりますが、平日より2時間以上遅くまで眠っていると、体内時計が乱れてしまい、次の日の朝に起きるのが辛くなるので注意しましょう。
第9条:光の利用でよい睡眠
朝の起床時にすっきり目覚めるコツは、カーテンを全開にして太陽の強い光を浴びること。反対に、夜、眠気を誘う明かりは暗めで暖色系のものです。寝室は真っ暗にするのがベストですが、暗すぎて不安になる人は、豆電球のフットライトを味方にしましょう。
第10条:規則正しい3度の食事、規則的な運動習慣
朝ごはんは抜かないように! 朝食を摂ることで、胃腸の体内時計がしっかり動き出すのです。
逆に夜中にお腹がすいても、夜食は体内時計のリズムを乱すので軽めに。なお、睡眠の役割のひとつは体の疲れをとること。つまり、日中に体を動かすことは快眠への近道です。
第11条:昼寝をするなら、午後3時より前の20~30分
夜はもちろん、午後2時頃にも眠気が強くなる時間帯があります。短い昼寝が効果的なので、オフィスでのランチ後、お昼休憩をうまく活用しましょう。ただし、夕方近くの昼寝や長時間の昼寝は、夜の睡眠に悪い影響が出るので気をつけてください。
第12条:充分眠っても日中の眠気が強いときは、専門医に相談を
しっかり睡眠時間を確保しているにもかかわらず、自動車の運転中や大事な用事の最中に、突然、眠くなるような人は、早めに医師の診察を受けましょう。睡眠時無呼吸症候群や、ナルコレプシーといった過眠症の可能性があります。
以上の12ヵ条を念頭におきながら、自分の生活を振り返ってみてください。まだ実践していないことがあれば、毎日の生活に取り入れてみましょう。
すべてを初めから完璧にできなくても、できそうなことからひとつずつでかまいません。意識して続けるうちに、睡眠マスターになれることでしょう。
よい睡眠によって、ぜひ心身ともに「だるおも」のない、健康で快適な人生を手に入れてください。
Photo: Getty Images