チームみんな、全集中で進めてきた一大プロジェクトのプレゼン。成功させるポイントは、ぐっすり眠ってすっきり目覚めてこそ、と言えます。でも実際にはギリギリまで準備に追われたり、緊張でなかなか寝つけなかったり……。良質な睡眠を手に入れるため、前夜にできること、当日の朝にすべきこととは!? プライベートで“大事な人”に会うときにも有効です!
睡眠がいつもより2時間少ないだけで──
明日は大事なプレゼン! という日、前の晩の睡眠はその出来を大きく左右します。当然のことですが、睡眠不足はもってのほか。
たとえば、十分な睡眠がとれずに朝を迎えてしまった場合、いざプレゼンが始まった途端に頭が真っ白となり、一生懸命覚えた説明を失念してしまう危険があります。
その理由は、記憶した内容は睡眠中に脳に定着すると言われているから。
実際、単語を暗記してその12時間後に単語を思い出すテストをすると、テストまでの間に眠ったグループは眠らなかったグループに比べて、明らかにテストの点数が高くなります。
「寝たら忘れてしまいそう」ということはなく、むしろ記憶の定着のためには睡眠は欠かせないというわけです。
さらに、経験ある人がほとんどかと思いますが、睡眠不足の日は覚醒度と集中力が大きく低下しています。睡眠がいつもより2時間少ないだけで、体重1kgあたり0.54gのアルコールを摂取したくらいの眠気に襲われることになるのです。
イメージとしては、飲酒運転で検挙されてしまうほどの「ほろ酔い状態」。それほどぼーっとしていれば、万全の体制でプレゼンできるはずがありませんね。
また、このようなご時世ですから、細菌やウイルスに感染するのは困りもの。細菌やウイルスと戦う体の抵抗力は寝ている間に維持・強化されるため、睡眠時間が短い、あるいは、細切れ、という場合は体の抵抗力が低下しやすくなります。
当日、体調をくずして大切なプレゼンに穴をあけてしまうことがないよう、やはり睡眠はたっぷりとりましょう。
「緊張で眠れない」を解決するコーヒーの香りの意外な効用
質のいい睡眠を十分にとるため、勝負日前夜に意識すべきポイントがあります。
ひとつめは、まず、緊張を和らげること。何ヵ月もかけて準備してきたプレゼンのことを考えると、緊張して寝つきにくい人も多いはずです。
そこで、普段と同じような生活を意識しつつ、ゆったりした気持ちになれるよう工夫するのが得策です。
たとえば、リラックス効果のある香りを味方につけてみましょう。アロマキャンドルが定番ですが、実はある種のコーヒー豆の香りもおすすめです。それは、グアテマラやブルーマウンテン。これらの香りはリラックス効果が優れているため、眠る前に香り“だけ”楽しむのです。
遅い時刻にカフェインを摂ると寝つきが悪くなるため、くれぐれも夕食後にお茶やコーヒーを飲まないようにしましょう。
また、眠る1時間前くらいの入浴も心がけてください。シャワーだけですまさずに38~40度のお湯に20~30分ほどつかると、心身ともにリラックスできます。それだけでなく、入浴で体温がいったん上がり、その後、体温が下がっていくと同時に眠気が強くなっていくため、寝つきがよくなるはずです。
「早起きするために早く寝ようとする」は逆効果!
翌朝起きたい時間にすっきり目覚めるために就寝時刻にもこだわりを。睡眠にはリズムがあり、寝ついてから起きるまで眠りが深くなったり浅くなったりします。眠りについてからおよそ1時間半ごとに浅い眠りになりますが、眠りが浅くなるタイミングと起床時刻が一致すると目覚めやすいというわけです。
それを計算し、起床予定時刻から6時間あるいは7時間半を差し引いて就寝時刻を決めるのがおすすめ。次の日の朝、しゃっきり目覚めることができるでしょう。
なお、プレゼン当日に早起きするつもりで、いつもの就寝時刻より早く寝ようとしても、あまりうまく寝られないことも多いのではないでしょうか。とくに普段より2時間も前に眠ろうとするのはあまりよくありません。
というのも、毎日寝ついている時刻の2~4時間前は「睡眠禁止帯」と呼ばれるころ。体温が1日のうちでもっとも高くなり、覚醒度が最高になっている時間帯です。2時間も早くベッドに入ったのになかなか眠れず、あせっていっそう眠れなくなる、という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
布団に入ったら、「眠ろう!」「眠らなければ!」と考えたり、「どうしよう眠れない」と悩んでも仕方がありません。ゆっくりと呼吸をしながら、自分の胸の動きに注意を向けたり、羊を数えたりして、「眠ること」や「プレゼンの出来」を無理に考えないようにしましょう。
どうしても悩みや不安が消えない人は、プレゼンに成功した姿を想像してみてください。プレゼンが終わって美味しいビールを飲む姿、クライアントの要望に応えながら仕事がうまく進んでいる姿、そして、そのときの達成感やハッピーな気分など。このようにできるだけ具体的にイメージすると、気持ちが楽になるはずです。
朝食には乳製品や豆類でスッキリ覚醒
翌朝、すっきり心地よく目覚めるコツもお伝えします。
まず、目覚まし時計のアラームが鳴ったら、ベッドのなかでぐずぐずせずに、布団を蹴飛ばして一気に起きましょう。
そして、部屋の明かりをつけ、カーテンを開けて日光を部屋に取り込みます。明るい光は睡眠ホルモン「メラトニン」を減らす作用があるため、窓際や屋外で日光を浴びると眠気がなくなって目が覚めやすくなるのです。
また、朝ごはんをなるべく食べましょう。朝食を抜くと午前中の脳のエネルギーが不足し、活動が鈍くなってしまいます。また、お腹に食べ物が入ることで、胃腸にある体内時計が目覚めるため、体も心も新しい一日がスタートできます。
朝食では、とくに乳製品や豆類を食べるように意識を。これらに多く含まれるトリプトファン(必須アミノ酸のひとつ)は、体内でセロトニンを作ります。セロトニンには気持ちを落ち着かせて覚醒度を高める働きがあるので、眠気を解消できるというわけです。
なお、どうしても朝ごはんを食べられない事情があるときには、せめてコーヒーやお茶を飲みましょう。カフェインには、脳の中で睡眠を促す物質の働きをブロックする効果があります。手足の血液の流れをよくする作用もありますから、少し肌寒い朝などにはうってつけです。
ぐっすり眠って気持ちよく目覚めることができれば、もう大丈夫! これまで全力で取り組んできた自分を信じて、あとは実力を発揮するだけです。Good Luck!
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