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プジョー、シトロエン、ジープ、アルファロメオ、マセラティ……
世界4位の自動車グループ「ステランティス」伊・仏・米・英連合の狙いとは?

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安全装備や自動運転でますます高額化している現代のクルマ。上手に購入する方法は? さらに、所有してからも様々なトラブルやアクシデントが起きるのがカーライフ。それら障害を難なくこなし、より楽しくお得にクルマと付き合う方法を自動車ジャーナリスト吉川賢一がお伝えします。

「STELLANTIS(ステランティス)」という自動車統合会社をご存じの方は、相当なクルマ好きでしょう。ステランティスは、2021年1月16日に、FCA(フィアットクライスラーオートモービルズ)と、グループPSA が50:50の対等合併で経営統合して誕生した、新たな自動車会社グループです。

プジョー、シトロエン、オペル、クライスラー、ジープ、フィアット、アルファロメオ、マセラティなど14ブランドを擁する多国籍自動車メーカーとなる、ステランティス。

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ステランティスの社名は、ラテン語の「stello」にちなんで、「星たちとともに輝く」を意味する

自動車メーカー同士の統合といえば、VWグループや、ルノー・日産・三菱アライアンスなど、ほかにも多くあります。なぜ自動車メーカーは、グループ会社になりたがるのでしょうか。

 

■超一流ブランドがひとつの傘の下に集結

欧州と北米にまたがるFCAと、欧州ブランドが中心のグループPSAの統合により誕生したステランティス。FCAは2014年に誕生した自動車グループで、現在は、「フィアット」、「アルファ ロメオ」、「マセラティ」、「アバルト」、「ランチア」といったイタリアブランドと、「クライスラー」、「ジープ」、「ダッジ」、「ラム」といったアメリカブランドが傘下となっています。一方のグループPSAは、「プジョー」、「シトロエン」、「DS」のフランスブランドと、ドイツの「オペル」、イギリスの「ボクスホール」が傘下。ステランティスは、VWグループ、トヨタ自動車、そしてルノー・日産・三菱アライアンスなどに続く、巨大規模の自動車メーカーグループとなりました。

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プジョー、シトロエン、オペル、クライスラー、ジープ、フィアット、アルファロメオ、マセラティなど14ブランドを擁する多国籍自動車メーカー

ステランティスが特に注力するのは、電動車開発の分野。
現在、29の電動モデルを保有しているステランティスですが、2021年末までに10車種の電動車両(EVやプラグインハイブリッド車)をラインナップに追加すると発表しています。多大な開発時間とコストのかかる電動車(EV、PHEV、ハイブリッドなど含む)の、「プラットフォーム」や「パワートレイン」といった部品をグループ内で共用することで、大幅なコストカットをすることが狙い。

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フランスの自動車メーカー「シトロエン」。日本でも、コンパクトカーのC3やC3エアクロスSUV、ミニバンのベルリンゴ、7人乗りのC4など、豊富なラインアップを誇る
ドイツの自動車メーカー「オペル」。かつては日本でも発売していたが2006年に撤退した。2021年には日本再上陸という情報もある

また、生産能力の適正化も重要課題とのこと。複数あるブランドの中には、生産能力が余剰になっている工場もあり、生産車種を調節しながら、工場閉鎖を伴わずに雇用を守る、といった活動もするそうです。

 

■グループ化する目的は「コストダウン」

自動車グループ化するのは、世界販売台数の上位ランカーになることが目的ではなく、すべては効率化、つまりは「コストダウン」が主な目的です。我々ユーザー側のメリットとしては、走りや乗り心地において質の高いクルマが増える、先進安全技術が広く広がる、事故による被害軽減が期待できる、などです。

「コストダウンできる」となると、クルマの値段が安くなるのでは!? と期待してしまうところですが、残念ながら、そこにはつながりにくいです。クルマに求められる機能がどんどん増えている昨今では、普通にクルマをつくっていては、どんどん価格を上げざるを得ない状況です。「安くなる」ことは難しいですが、今後登場する先進技術によるコストアップが抑制される、といったイメージが近いかと思います。

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アメリカの自動車メーカー「クライスラー」。フォード、GMと並んで「ビッグスリー」と呼ばれていたが2009年に経営破綻、イタリア最大の自動車メーカーであるフィアットが資金的援助をしたことで、2014年にFCAグループとなった
アメリカの自動車メーカー「ダッヂ」はクライスラー社の1ブランドだ。スポーティモデルの「チャレンジャー(写真左)」は日本でも有名

日本における身近な自動車グループの事例だと、日産・ルノー・三菱の3社連合グループです。お互いが株式を持ち合い、技術や部品を共用化したり、製造工場を共有しています。日産は米国や日本といった市場で強く、ルノーはヨーロッパで1、2位を争うメーカーで、三菱は東南アジアで強い、といった特色があります。各々が得意な販売地域で、商品がかぶらないよう振り分けることで、各々がWIN-WINになるような関係を維持することができます。

「同じ技術を使うとメーカーの特色がなくなってしまうのでは?」と心配するの声もありますが、共用化しているのは、「プラットフォーム」や「パワートレイン」といった、クルマの内部が中心。例えば、グループPSAのプジョーがもつ「ネコ足サスペンション」や、FCAのアルファロメオがもつ「切れ味鋭いハンドリング」など、特徴ある走りは、セッティングで十分に棲み分けが可能です。

良い部品を皆で共用化することで、楽しい走りや、良燃費を享受できる、という意味では、我々ユーザーにもメリットがあるといえるでしょう。

Text:Kenichi Yoshikawa
Edit:Takashi Ogiyama
Photo:STELLANTIS,Getty Images

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吉川賢一ポートレート吉川賢一(自動車ジャーナリスト)1979年生まれ。元自動車メーカーの開発エンジニアの経歴を持つ。カーライフの楽しさを広げる発信を心掛けています。

 



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