ケータイやスマホの普及により腕時計の必要性を感じなくなっている方も多いかと思います。しかし、腕時計は結婚指輪とともに男に許された数少ないアクセサリーであり、タイ同様に言葉なくとも自身を語ってくれるコミュニケーションツールなのです。時刻を知るだけでなく、腕時計はあなたのステイタスやセンスを物語る分身のような役割があります。

チューダーが初の200m防水を達成した伝説のダイバーズウォッチRef.7924、通称「ビッグクラウン」の発売年(1958年)にちなんで命名されたフィフティ-エイト。そんな名時計に今年新たに採用されたカラー名を冠したモデルがこちら。
では、どんな腕時計がビジネスシーンに合うのか。ずばり、時計専業メーカーのものを選びたい。ファッションブランドの時計はおしゃれですが、やはり専業メーカーの信頼性には及びません。確かなもの選びができるということを腕で示すためにも時計専業メーカーのものを選びたい。
時計を動かすメカニズムには大きく見て、クォーツと機械式の二種類があります。クォーツの動力源は電池です。機械式はゼンマイを手で巻くか振動を与えることで動きます。

1965年に誕生したセイコーのダイバーズウオッチは、今年で55周年を迎えます。これは日本のダイバースウォッチの歴史でもあります。こちらの「プロスペック」シリーズは、防水性能以外にも視認性・耐磁性能・耐衝撃性でも厳格な試験をクリア。コストパフォーマンスに優れ、時計愛好家からの評価も高い。
クォーツは電池が切れない限り正確な時を告げます。また機械式に比べ安価です。が、少しおもちゃっぽい見た目のものが多いようにも感じます。
一方、機械式は手を加えないと動きを止め、また定期的なメインテナンスも必要、と手間がかかります。しかし、丁寧な作りこみがあり、一生大事にしたいと思わせる風格があります。

海に反射する太陽の光を想起させる特殊なブルーの逆回転防止ベゼルと、ブルーのアリゲーター型押しラバーストラップが印象的な「アクアレーサー」。
どちらがビジネスに向いているか。価値観は人それぞれですが、機械式の方が他者への信頼感を得やすいように私は思います。確かにクォーツに比べ機械式は高価ですが、男に許された唯一のアクセサリーにして、仕事を円滑に進めるためのコミュニケーションツールと考えれば痛い出費にはならないはず。

1950年代のオリジナル「スーパーオーシャン」にインスパイアされた「スーパーオーシャン ヘリテージ」は、アイコニックなデザインとモダンなタッチを兼備。アイコニックな三角針、ポリッシュ仕上げのセラミックリングを備えた逆回転防止ベゼルが特徴。
最もフォーマルで厳かな場には、シンプルなドレスウォッチ(パテック フィリップのカラトラバのホワイトゴールドケースがその代表)以外認められないでしょう。しかし、我々のような普通のビジネスシーンで着用するのにおすすめするのはダイバーズウォッチです。
ダイバーズウォッチは、その名のとおり、ダイビングのための腕時計。防水機能が主たる特徴です。つまり、ケースが頑強で内包するメカニズムに浸水させないよう作られています。
人生において何百メートルも水に潜ることは皆無と言えるでしょう。しかし、何百メートル潜っても気圧に負けず、浸水を防ぐタフさは、日常の雨や手洗いなどのちょっとした水でも壊れることなく、少し手荒に扱ったとしてもへこたれません。コロナ禍にあって、手洗いを今まで以上に意識する昨今、防水機能はこれまで以上に求められているように思います。

1957年に発表された「シーマスター」は、ダイバーや水中で作業するプロフェッショナル向けに特別にデザインされた時計でした。"ヴィンテージ"のスーパールミノヴァを塗布した針を備えたサンドブラスト仕上げのブラックダイアルなど往時を思い出させるディテールがたまりません。
もちろん、大げさな機能は不要。防水性能も300や400mもいりません。ケースとベルトの素材は、ゴールドやプラチナといった希少な金属のステイタスが高く、身に着ける人の格を物語ってくれます。が、日常使いにはステンレスがベストです。
ダイバーズウォッチとはクルマでいうところのSUVのようなもの。タフでいながら、都会にもすんなり溶け込む万能選手なのであります。






Photo: Ryouichi Onda
Styling:Takahiro Takashio
Text:Takashi Ogiyama
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