FORZA STYLE 編集長 兼 ファッションディレクター
尊敬する人は、ロロ・ピアーナの元会長セルジオ・ロロ・ピアーナさん、ピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん、トッズの会長ディエゴ・デッラ・ヴァッレさん、格闘家のブルース・リーさん、初代タイガーマスクの佐山サトルさん。 スポーティでエレガントなイタリアンスタイルを愛し、趣味はクルーズ(船旅)と日焼けとカラオケ。お酒をある一定以上飲み過ぎると、なぜだか一人感無量状態になって男泣きする小誌編集長。1973年、東京生まれ。
僕が現時点で“これさえあれば!”と思う3着を使ったカシミアスーツの着こなし提案の第2弾は、ダブルブレストのグレースーツ。パンツは前回のネイビーが1プリーツなのに対して、こちらは2プリーツです。
すでにお伝えしている通り、ここで紹介する3着のスーツはすべて僕が敬愛するビームスの無藤和彦さんがディレクションするブリッラ ペル グル イストのもの。生地はいずれもロロ・ピアーナ社の最高級カシミア「スパンカシミア」です。
アイテム
スーツ(オーダー)/ブリッラ ペル グル イスト
シャツ/アルコディオ
ネクタイ/アルコディオ
チーフ/ムンガイ
メガネ/オリバーピープルズ
ベルト/ジョンロブ
時計/ヴァシュロン・コンスタンタン
ソックス/グレン・クライド
靴/ジョンロブ
今回、カシミアスーツをオーダーするきっかけになったのが、僕のお洒落の師匠のひとり、無藤さんからの「滅多にお目にかかれない、最高級のヤバい生地が手に入った」とのLINEでした。その言葉にのせられ、まんまと3着も誂えてしまったのですが(苦笑)、絶対に後悔させないのが無藤さんのスゴいところ。
生地が最高なのはもちろん、このスーツでは仕立てを日本屈指のファクトリー、リングヂャケットが担当しているのも大きな魅力となっています。
一応、リングヂャケットのことを説明しておくと、1954年に大阪で創業。テーラードに特化した「注文服のような着心地の既製服」を掲げるファクトリーブランドです。「注文服のような着心地の既製服」をコンセプトに掲げるだけあって、卓越した職人技術、最新機械技術、良質素材へのこだわりは業界でも屈指。
熟練職人による丁寧なアイロンワークと縫製に定評があり、特に伊ナポリのジャケットのようにソフトで丸みのある軽いジャケットを十八番としています。肩パッドなしのモデルはまさに真骨頂といえるもので、日本人の体型にフィットするパターンの研究にも余念がありません。
で、そろそろ着こなしのほうに話を移しましょうか。僕の場合、ファッション業界の先輩方がいつも着こなしのヒントとなる写真をメールやLINEで送ってくれることが多く、それらをいつもイメージソースとして活用しています。
イタリアを代表する自動車会社フィアットの元名誉会長にして、同国最高の伊達男といわれた故ジャンニ・アニェッリさんもそのひとり。そのアニェッリさんの典型的な着こなしが、ダブルブレストのスーツスタイルでした。
頭の先からつま先まで完璧なように見せていて、ダブルの6ボタンを下ひとつ掛けにしたり(通常は中ひとつ掛け、あるいは中下ふたつ掛け)、さらに内側のボタンをしていなかったり、有名なところではシャツのカフスの上に腕時計をするスタイルも彼がオリジナルです。ルールを熟知しているのに、くずしたり、ハズしたりして、あえて自分らしさを貫くんですよね。
僕が敬愛するフィレンツェの名店「タイ ユア タイ」の創始者、フランコ・ミヌッチさんもそう。ネクタイの小剣をズラしたスタイルはミヌッチさんの代名詞となっています。
東洋の世界では十五夜(満月)にあたる「15」という数字は「完全」を表すものだそうで、京都の龍安寺にある石庭は15個の石が点在していますが、どの角度から眺めても必ず1個の石は隠れて14個しか見えません。龍安寺の庭は、あえての「不完全」な庭としてつくられているのです。それって、スタイルにも同じことが言えませんか?
ちょっと話が逸れたかもしれませんが、ダブルのボタンをあえて留めないことでできる特有のたゆみやシワは、言うなればワビサビの境地。それって実に日本的だなあ、なんて思うわけです。
僕もここではアニェッリさんに倣ってジャケットのボタンを下ひとつ掛けにしましたが、ここで大事なのはただ真似するのではなく、自分らしさって何だろうということを常に考えること。そうじゃないと、自分を見失ってしまいます。
例えば、東京の街に似合うモノトーンのカラーリングや、クラシックなスーツにあえてナロータイでモードな気分も少しだけ取り入れるのが干場流。まんまアニェッリさんの着こなしを真似しても、アニェッリさんにはなれないですからね。
ここで学ぶべきはアニェッリさんやミヌッチさんの遊び心。それこそが彼ら特有の色気につながっている気がします。つまり、エロスを突き詰めると“不完全”に行き着く!? いつかあんなふうになりたいと思いながら、今日のところは筆を置きます。
今回のスタイルのキモは……。
Photo: Ikuo Kubota (OWL)
Styling&Model:Yoshimasa Hoshiba
【エロサバ】-Hoshipedia
「エロサバ」とは、エロいコンサバの略で、干場の哲学により生まれた造語。シンプルでベーシック、コンサバティブな洋服を着ているのに、なぜかエロく見えるスタイルのこと。例えば喪服の女性。成熟した大人の女性が喪服を着ていて、メイクもナチュラルで抑制しているのに、不思議と色っぽく見えるスタイル。例えば、普通の白いシャツを着ているのにも関わらず、胸元のボタンの開け方や袖口のまくり方でSEXYに見えるスタイル。粗悪な素材でデザインが変わっているシャツでは駄目。上質な素材でベーシックなシャツだからこそ、崩して着こなしても上品さが保てるのです。男性で例えるなら、仕立てられたグレーの無地のスーツを着て、上質な白シャツに黒の無地のネクタイのような極めてコンサバティブなスタイルをしているのに、内側から大人の色気が香るスタイルのこと。
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