15年前、あなたはどこで誰と何をしていましたか?――2004年に誕生したセレクトショップ『LOVELESS(ラブレス)』が15周年を期に移設・リモデルオープン。「THE NEW TIME」をコンセプトに、とても明るくヘルシーな雰囲気に生まれ変わりました。メンズ・ウィメンズの2層フロアからなる新店舗を、メンズファッションライターの丸山尚弓(マル)とライターの梶井誠(マコ)が見て歩いて、語り合います。前編はこちらから。
15年前、マコとマルはこんなことをしていました
マコ マルちゃんは、15年前は何をしていましたか?
マル 15年前! まだ10代で高校生でしたね。変だと思われるかもしれませんが、私は年々痩せているんですよ。15年前、実は、みずみずしいちょいデブでした(笑)。
マコ あらま、今からは想像できないですね。
マル 私は2~3歳からオシャレが好きだったんですが、自分に似合うものが分かるまでの道のりが長かったんです。高校生の頃はまだ自分の方向性が決まっていなかったですね。
マコ 男性はトラッドとかストリートとかスポーツとか方向性は少ないけど、女性はブランドも多いし、価格帯もいろいろあって、男のオシャレのほうが分かりやすいですね。方向性を決めるのに何かお手本にしたものはありますか?
マル 私がお手本にしたのは、雑誌『LEON』に出てくる海外の女性モデルが着ている服ですね。可愛いし、あまり変わらないし、男性が女性に求めるスタイルが「タイムレス」なのがよく分かります。マコちゃんの15年前は?
期間限定ポップアップショップ「crabat(クラバット)」のシルクスカーフ2万4000円(税別)
マコ ちょっと重い話をしていいですか? 15年前は40代前半で、まさにFORZA世代だったんですが、今振り返ると、突然「男の更年期障害」みたいになって、気分がすごく落ち込んでいた時期なんです。
マル どんな感じだったんですか?
マコ 具体的に言うと、多摩川にかかっている橋の上を歩いていて、ヒュイッと飛び降りても怖くないなって感じでした。それで「これはヤバいかも」って女房に話をしたら、「じゃあ犬を飼おう!」って言われて、柴犬を飼いだして、朝晩の散歩を欠かすことなく生活していたらいつの間にか“抜け”ました。
マル それは奥さまの助言で救われましたね!
マコ 初めて飼った犬でしたが、「誰かのために無償で何かをする」って本当に大事なんだなって。犬だったけど子どもみたいでしたね。で、今年の夏に15歳で死んじゃったんですよ。だから、ラブレスが15年って聞いて、「そうかぁ、15年かぁ」って。長いようで短いなぁと。
マル マコちゃんにとってかけがえのない年月だったんですね。
マコ そうですね。お店も人も15年経つと15歳分、歳を取っているわけで、25歳でラブレスに初めて来た人も今40歳なんですよね。
マル そうやって考えると年月は残酷でもあり、実りでもあるんですね。
マコ 暗い話をしてすみません。FORZA世代に「男の更年期障害」を知っておいてほしくて話しました。
「メゾン ミハラヤスヒロ」のラブレス別注ハイカットスニーカー4万円(税別)
旧店舗のラブレスに一緒に通った元彼は今いずこへ!?
マコ 話を、新生ラブレスに戻しましょう!
マル 移転前の旧店舗は、ハタチ頃に元カレとよくデートで来ていました。
マコ おぉ、いい話が来たぞ!
マル 元カレがラブレスが大好きで、お互いに好きなモノを探しながら地下へ潜っていく感じがすっごく楽しかったですね。
マコ ハタチだもんね、楽しいよね。その元カレは?
マル え? 所在不明ですね。今、幸せだといいな。彼は良い思い出として残っていますが、付き合った男性は通り過ぎると過去のものになる、女性の中の「上書き保存」説は、本当です。
マコ あぁ、男性は「フォルダ別保存」ですからね(笑)。
マルちゃんに説明するラブレス担当の三陽商会宣伝・販促部の渡邊恭子さん
マル こうやって新しいラブレスを拝見して、扱っている服はモードに合わせすぎていないし、可愛らしさや女性らしさなどラブレスらしさはしっかり残っているし、「15年後の私」にもぴったりだと思いました。
マコ 男はラブレスには、黒、スカル、スタッズというアイコンがまだ強烈に頭に残っているから、なかなか上書き保存できません(笑)。
マル 新しいラブレスはロゴの書体も一新しましたね。
マコ 「リブランディング=ロゴの刷新」は今、ファッション業界に限らずちょっとしたブームですね。ブランドでもバーバリー、フルラ、リモワ、女性ブランドのセシルマクビーなどがすぐ思い浮かびます。
マル ラブレスはfutura(フーツラ)フォントを基調にしてスッキリした印象を持ちました。
マコ 今は紙媒体からウェブに移行していて、ロゴが読みやすい、分かりやすいのがトレンドになっています。ウェブで見てもはっきり分かる書体が好まれていますね。
マコちゃんお気に入りの2階のシューズコーナー。手にしているのは「ドクターマーチン」のビットローファー2万5000円(税別)
「FORZA的男性」をマルちゃんが解剖する!
マコ マルちゃんから見て、「FORZA STYLEの男」ってどんなイメージですか?
マル 干場さんとアニキを筆頭にエコラグ的な感じですね。自分の中にしっかり軸があって、社会や仕事とバランスを取りながらも、どこかで面白い要素を求めている男性が多いのかなと思います。「見た目はシュッとした二枚目なのに、中身は意外と三枚目で面白いのね」ってイメージで、男子校のノリみたいな。
マコ 確かに、イマドキの若い男子とは違いますよね。
マル 今の若い子は男性っぽくない反面、分かりやすくていいなと思います。
マコ 自分の意思表示がニュートラルなのは、責任を取りたくないというのと、自信がないんでしょうね。
マル 閉塞感とか忖度とか、生きづらいんだろうなって。FORZAの記事を見ていると、いい歳をした大人が無邪気に楽しいことをしていて、若い世代が見ても絶対楽しいはず。言っていることは正しいのに説教臭くないのがいいですね。若い子たちももっとふりきっちゃって、「出るクギも出過ぎれば打たれない」のに。
マルちゃんがラブレスで最初に試着したのは、国内エクスクルーシブの「アレキサンダー・ワン」のライダースジャケット27万9000円(税別)
マコ 「明るい時間から飲んでいいよ」って感じ?
マル そう。だけど、それはほどほどに(笑)。たまには昼から飲んでいいし、息抜きは大事です。
マコ ラブレスから昼飲みの話になりましたが(笑)、これからマコ&マルの二人のフィルターで交互に店を選んで、こんな時事放談(笑)をやっていきます。
マル ファッションショップはもちろん、レストランやギャラリー、東京ならではの営業形態の店など、今までなかったコンセプトで楽しそうな店をご紹介していきますので、お楽しみに!
マコ 次回はマルちゃんのセレクトで、あの靴磨き専門店「Brift H(ブリフト アッシュ)」の長谷川裕也氏と、最先端の飲食店との夢のコラボレーション店で、虎ノ門にできた「The shoshine & bar toranomon」を“新店ゴーゴー!”します! お楽しみに!
美人は何をしても絵になりますなぁ(羨ましい)
LOVELESS青山(ラブレス青山)
【マコ】
ラブ度★★★★
青山度★★★★★
お財布開き度★★★★
トレンド発見度★★★★★
デート度★★★
【マル】
ラブ度☆☆☆
青山度☆☆☆☆☆
お財布開き度☆☆☆☆☆
トレンド発見度☆☆☆☆☆
デート度☆☆☆☆
LOVELESS青山(ラブレス青山)
東京都港区南青山3-16-1
03-3401-2301
営業時間:11:00~20:00(不定休)
丸山尚弓(まるやま なおみ)
「美人すぎるメンズファッションライター」として活動中。メンズファッションを題材とした自身のFacebookは、コメントが女性目線で分かりやすいと好評で、紹介した商品には問い合わせが殺到する。ファッション初心者を「素敵な男性」へと優しく導くことが信条。またファッションだけでなく「人生を豊かにするライフスタイル」をテーマに、男性としてトータルの魅力アップが目指せる記事を発信している。ライター以外の活動として、メンズブランドの企画やブランディングも行う。特技はコミュニケーション力を活かして外国人ともすぐに友人になれること。趣味はタウンウォッチと英語での映画鑑賞。
Photo:Shimpei Suzuki
Text:Makoto Kajii