寝違えは、予防もできます!
朝起きると首や背中が痛くて動かせない、「寝違え」。1日中痛くて調子が出なくてつらい……と悩まされたことのある方も多いのではないでしょうか。そんな寝違えですが、実は対処法を間違えている人も少なくないのです。
寝違えた時、正しくはどう処置すればいいのか? また、どうすれば寝違えないのか? 気になるあれこれを本記事でご紹介致しますので、ぜひご参考にどうぞ!
目次
◆寝違えとは?
◆寝違えの原因
・姿勢が悪い
・寝具が合っていない
・血行不良
・ストレス過多
・食べすぎや飲みすぎ
・突然運動をする
・腋窩神経の圧迫
◆寝違えたときにすべきこと
・冷やす
・とにかく安静に
◆寝違えたときにしてはいけないこと
・温める
・ストレッチ、マッサージ
◆予防するには?
・良い姿勢を保つ
・枕の調節
・寝る前のストレッチ
・部屋の温度を下げすぎない
・酔った状態、疲れた状態で眠らない
◆痛みがひかない場合
◆まとめ
寝違えとは?
私たちが「寝違え」と呼んでいるものは、医学的には「急性疼痛性頸部拘縮」「急性頸部痛」などと呼ばれています。頸部(首)のあたりに起こる炎症、という意味ですね。字面は恐ろしいですが、ご存知の通り外傷などではなく放っておいても治る炎症です。
寝違えの原因
実は、寝違えの原因は1つに特定できるものではありません。いくつかの要素が考えられるので、1つずつご紹介します。
・姿勢が悪い
皆さんが寝違えの原因でパッと思い浮かぶのは「寝ている時の姿勢が悪いから」ではないでしょうか。悪い姿勢は筋肉に多大な負担をかけますから、こちらはもちろん重大な原因の1つです。
不自然な姿勢で長時間過ごすことによって、筋肉のねじれが起こったり神経や血管が圧迫されたりして痛みが発生します。普段であれば寝返りをうつなどして自然に回避しているのですが、疲労がたまっていたりソファで寝たりするとそれもできなくなり 寝違えの原因になってしまうということですね。
寝ている時だけではなく、起きている時の姿勢も注意が必要です。特にデスクワークなどで、ずっと同じ姿勢でお仕事をしているという方は、筋肉が固まってしまって寝違えの原因に繋がってしまうこともありますよ。
・寝具が合っていない
上の「姿勢が悪い」に補足のような形になりますが、寝具が合っていないというのも不自然な姿勢の原因になります。
まず、マットレスは柔らかくふわふわのものを使っているという方。これはあまりおすすめできません。なぜなら、マットレスは硬めの方が寝返りをうちやすいから。特に寝相の良い方は就寝中の姿勢がずっと同じだという可能性が高いので、特に「寝返りのうちやすさ」に気を遣うと良いかもしれないですね。
そして、枕も重要です。いつもの枕ではないと快眠できないという方、いらっしゃいますよね。これは精神的なものではなく、枕の高さが合わないと実際首に負担がかかってしまうからなのです。寝不足が続いているという方は、今一度ご自分に合う枕を徹底調査してみる必要があるかも!?
また、パジャマも無関係とは言えません。サイズの合わないパジャマを着ていると、身体に絡まって動きにくくなったり、締め付けて血行が悪くなったりしてしまいます。ぜひパジャマのサイズにも注意してみてください。
・血行不良
血液は身体全体に流れており、老廃物などを流してくれる役割を負っています。つまり、血行不良が起こると老廃物が溜まってしまいます。この状態で筋肉に疲労が溜まることが、寝違えに繋がるのです(肩こりや腰痛の原因としてよく知られていますよね)。
血行不良を防ぐにはお風呂に入ったりマッサージをしたりして身体を冷やさないことが第一ですが、運動不足や食生活の乱れがないかどうかも振り返って考えてみると良いでしょう。
・ストレス過多
普段の生活でストレスを感じていると、寝違えが進行してしまうことがあります。これはなぜかというと、精神的なストレスがかかると気づかないうちに身体が緊張状態に陥るから。筋肉が変に力んでしまい、寝違えを起こしてしまうのです。
☆ストレス解消方法がわからない……という方には、こちらの記事がおすすめです!
【今すぐ実践】職場で簡単にできる! ストレス解消方法7選
・食べすぎや飲みすぎ
食べすぎ、飲みすぎは意外と知られていない寝違えの原因です。なぜそれで寝違えるのかというと、内臓の調子も寝違えに繋がるから。弱った胃や肝臓をフォローするために筋肉が動き、その動きで寝違えてしまうのです。実際、「送別会や歓迎会が多くなる3~4月は寝違える人が多発している」というデータもあるそうですよ。
また、左側の寝違えは胃や膵臓・右側の寝違えは肝臓や胆のうのせいだとも言われています。
・突然運動をする
普段運動をしていない人が突然激しい運動や労働をすると、その夜寝違えることが多いと言います。これは、突然の運動に筋肉が痙攣を起こしているのです。わかりやすく言うと、こむら返りと同じような現象ですね。
☆こむら返りについてはこちらの記事をご参照ください!
【ひたすら耐えなくていいんです‼】「こむらがえり」は予防できる!!
上の記事にもありますが、こむら返りや寝違えを恐れて運動をしないというのは本末転倒です。適度な運動は心がけてくださいね。
・腋窩神経の圧迫
最後は「腋窩神経(えきかしんけい)の圧迫」です。聞きなれない神経かと思いますが、漢字の通り腋の神経のことです。
寝違えといえば首回りの痛み……というイメージから首回りに原因があると考えている人が多いですが、実はこの腋窩神経が寝違えの黒幕だとも言われています。腋窩神経は首を支える筋肉に繋がっている重要な神経で、ここが圧迫された姿勢で寝たりすると首が痛むのだそう。目から鱗ですよね。
いくら首の体勢に気をつけても寝違えるという皆さん、今日からは腕の位置に気をつけてみてはいかがでしょうか?
寝違えたときにすべきこと
寝違えの原因をざっとご紹介したところで、次は寝違えた時の正しい処置方法をお教えします。
・冷やす
「寝違えた!」と思った時、患部に腫れたような感じや熱い痛みがある場合も多いと思います。その時は、とりあえず氷水や湿布で冷やしてください。
氷水を入れた袋やタオルを巻いた保冷剤を患部に当てて10分~15分ほど冷やし、1時間ほど置いてまた冷やし……というのを痛みの感覚がなくなるまで繰り返すのがおすすめです。ちなみに、「冷たすぎるかな?」と感じるくらいでOK。炎症を抑えるには冷やすのが一番です。
・とにかく安静に
冷やした後は、むやみに首を触ったり動かそうとしたりせず、安静にしましょう。無駄な刺激を与えなければ、自然と治ります。
※大人しくしているのに1週間以上痛みがひかない場合は、急いで病院へ!
寝違えたときにしてはいけないこと
いかがでしょう。 寝違えた時、あなたはちゃんと冷やしてから安静にしていましたか? 知らずに間違った方法を実践している方も少なくないはず……。以下の「間違った対処法」をチェックしてみてください!
・温める
「え? 血行不良が寝違えの原因になるなら、血行促進のために温めるのは効果的なんじゃないの?」と言う声が聞こえてきそうですが……寝違えの「予防」ではなく「対処法」だと温めるのは逆効果、むしろ厳禁なのです。炎症が起こっている時に温めると、炎症を悪化させてしまいます。
そのため、痛めた当日はお風呂は入らずシャワーで済ませる(ひどい場合はシャワーも避けた方が身のためかも……)と良いそうです。
・ストレッチ、マッサージ
とあるアンケートでは、「寝違えた時にどうしていますか?」という質問に「無理やり揉み解してごまかしている」と答えた人の割合が一番多かったのだとか。確かに、「寝違えたみたい~」と言いながら首を軽く揉んだりさすったりしている方をよくお見掛けしますよね。ですが、これは大きな間違い。何もごまかせていないのです。
マッサージやストレッチがダメな理由は「温める」と同じ理由で、血行が良くなってしまうから。マッサージをしたくなる気持ちもわかりますが、医療機関で勧められたもの以外は基本やめておきましょう。特にインターネットには寝違えに効くマッサージやツボが転がっていますが、もし自分に合わなかったら悪化してしまいますので要注意。
予防するには?
寝違えてしまった時に「冷やす」「安静にする」の2択なのは少し心もとない……ということで、以下の予防法を実践して寝違えを防止しましょう。
・良い姿勢を保つ
常に正しい姿勢を保つことができれば、理論上寝違えることはないはず。では、正しい姿勢とは一体どんなものなのでしょうか。
寝ている時であれば、頭からつま先まで骨が一直線になる寝姿勢です。できれば腋を圧迫せず、内臓にも優しい仰向けが良いでしょう。
起きている時であれば、まっすぐ立った時に腕が自然と太ももの横に来れば良いと言われています。ならない方は、肩甲骨を張る・頭は頸椎の真上に……というようなことを意識してみましょう。そうすることで横から見た時に背骨が綺麗なS字になると言われています。
座り姿勢ももちろん大切です。肩が上がりすぎず、目線を下げなくても良いような椅子の位置を自分で調整しましょう。また、1時間に1回程度は立ち上がってリフレッシュすることも頭に留めておいてくださいね。
☆自分、猫背かも……と不安な方はこちらの記事をどうぞ!
“猫背”治したくない? 正しく矯正して美しい姿勢を手に入れろ!
・枕の調節
「寝具が合っていない」の項で枕の調節をご提案しましたが、具体的にはどうすれば良いのでしょうか。
高すぎる枕は首回りの筋肉に負担をかけますし、低すぎる枕は頸椎を支えられません(枕を使わないのも同様)。立っている時と変わらない姿勢を保つため、自分の頭部~首の幅にフィットするものが「丁度良い高さ」の枕です。
また、寝返りをうっても枕から落ちないよう、幅は広め(自分の頭3つ分)の枕を選ぶとなお良いでしょう。
・寝る前のストレッチ
寝違えた時のストレッチは厳禁ですが、寝る前にストレッチをするのは推奨されています。ストレッチと言ってもそんなに本格的なものではなく、首を色々な方向へぐっと倒して首~肩周りの筋肉をほぐしておくというものがおすすめです。
他にも、ラジオ体操も内臓を動かし代謝を上げる効果があるため、寝違え予防としては適しているのだとか。生活に導入してみてはいかがでしょう?
・部屋の温度を下げすぎない
夏場はどうしてもクーラーをつけて部屋をキンキンにしてしまうというアナタ。これでは筋肉も固まりますし、血行も悪くなります。設定温度はなるべく高めに保つようにしましょう!
・酔った状態、疲れた状態で眠らない
食べすぎや飲みすぎは寝違えの原因という話の通り、泥酔状態で寝てしまうと内臓の調子が悪くなり、筋肉のねじれに繋がります。また、酔っている時は寝違えの回数が普段より激減するというデータもありますから、飲み会の後などは寝る前に経口補水液などを飲んでなんとか酔いを緩和しておきたいところです。
ひどく疲れている時も泥酔時と同じ状態になり、寝違えが減ったり血流が悪くなったりします。よく注意してみてくださいね。
痛みがひかない場合
寝違えは、本来安静にしていれば痛みは引いていくものです。ですが、痛みが月単位で引かない(orむしろ悪化する)という声もちらほら……。
この場合は、ただの寝違えではなく、例えば関節リウマチや頚椎椎間板ヘルニアなど他の病気が原因になっているということもあり得ます。「これはおかしいぞ」と思ったら、すみやかに整形外科へ行くことをおすすめします。
まとめ
いかがでしたか?
確かに病気や大きな怪我ではありませんが、痛みで日常生活もままならない「寝違え」は決して軽視してはいけない存在です。「たかが寝違え」と思って適当に処置している方も多かったのではないでしょうか。
今回の記事を参考に、正しい処置や予防法を実践して寝違えとは無縁の生活を送りましょう!
Text:K.S
Photo:Getty Images