マーガレットとはサイズで区別されているそうですよ
緑茶に紅茶、中国茶……。この世には様々な種類のお茶がありますが、ハーブティーはお好きでしょうか。
カモミールティーといえば、ハーブティーの中でも非常に知名度が高いものだと思います。しかし、このカモミールティーに使われている「カモミール」について深く知っている人はそこまで多くはないのではないでしょうか?
今回はそんなカモミールについて徹底解説します‼ カモミールそのものの歴史や効能はもちろん、カモミールティーの美味しい飲み方や出がらしの活用法までお教えしちゃいますよ‼
目次
◆カモミールとは
・カモミールとは
・名前の由来
・歴史
・花言葉
・種類
①ジャーマンカモミール
②ローマンカモミール
◆成分
・アズレン
・アピゲニン
◆効能
・リラックス
・安眠
・皮膚や粘膜を保つ
・胃の調子を整える
・生理痛緩和
◆デメリット
・妊婦さんは注意!
・キク科アレルギーの人は注意!
◆カモミールティー
・ドライハーブ? フレッシュハーブ?
・紅茶と混ぜてあることも
・おすすめの飲み方
①飲みやすくする
②ハーブチンキを加える
③生姜でポカポカに
・出がらしの活用方法
①消臭剤
②入浴剤
③目のクマを和らげる
・おすすめのタイミング
◆まとめ
◆カモミールとは
・カモミールとは
カモミールとは、西ヨーロッパやアジア北部が原産のキク科の植物です。
花が咲くと青りんごのような甘い香りを放ちます。草丈は30〜60cmほどで、真っ白い花びらと黄色い花托をつけるのが特徴です。

実は花びらの形や色、香りのよく似たいくつかの植物をまとめてカモミールと呼んでいるため、開花時期はまちまちなんですよ。
・名前の由来
「大地のリンゴ」という意味の「カマイメーロン(chamaemellon)」というギリシャ語が、「カモミール」という名前の由来になったと言われています。
また、日本では「カミツレ」とも呼ばれていますが、これはオランダ語の「カーミレ」がなまったことが由来だそうです。
・歴史
カモミールの歴史はかなり古く、古代エジプトではカモミールが神様の供物や、病気の秘薬として活用されていたことがわかっています。神様に捧げられるほどカモミールが評価されていたというのは驚きですよね。

4千年前のバビロニアやヨーロッパでも、かなり早い段階からカモミールを民間薬として利用しており、主に熱病や婦人病の民間薬として用いられていました。
ちなみにカモミールが日本に伝わったのは18世紀の終わり頃。江戸末期、日本が鎖国からじょじょに解け始める時代にオランダからもたらされたそうです。
・花言葉
カモミールの花言葉は大きく2パターンありますが、そのどちらもカモミールの特性を良く取り込んだ表現となっています。
①「苦難に耐える」「逆境で生まれる力」
素朴な見た目に反して、たくましい花言葉ですよね。実はカモミールは耐寒性があり、風雨に耐え、踏まれてもよく育つ生命力の強さを持っています。これに由来してつけられた花言葉なんです。

②「清楚」「あなたを癒やす」
純白の花びらでスッと伸びる姿から「清楚」という花言葉が、リンゴのような香りで人々をリラックスさせることから「あなたを癒やす」といった花言葉がつけられました。
・種類
実は一口にカモミールといっても、実は大きく2種類にわけられるのをご存知でしたか?どちらも効能は似ていますが、風味が異なります。そのためジャーマンカモミールはハーブティーとして利用され、ローマンカモミールはアロマで活用されることが多いというように、使い道も少々異なってくるのです。
①ジャーマンカモミール
一年草で花の中心にある黄色い部分が膨らんでいるのが、ジャーマンカモミールの特徴です。

リンゴのような優しい甘い香りと味があり、「カモミールティー」と呼ばれるもののほとんどがジャーマンカモミールを原料としています。
②ローマンカモミール
多年草のローマンカモミールは、ジャーマンカモミールよりも小ぶりで、黄色い中心部が平らになっているのが特徴です。花はあまり目立ちませんが葉は美しく、可憐な印象を与えてくれます。

花だけに香りがあるジャーマン種とは異なり、花や茎、葉のすべてが香ります。そのためアロマオイルにして活用されることが多いのが特徴です。香りはフルーティーですが、ティーにすると苦味が強くなってしまうため飲用には向きません。
◆成分
・アズレン
この成分は「カマズレン」とも呼ばれ、精油に含まれる芳香成分の1つです。カモミールだけではなくセイヨウノコギリソウやニガヨモギなど、広くキク科の植物に含まれています。

カモミールの精油が美しい瑠璃色なのは、このアズレンが含まれているからなのです。その澄んだ深い青色は、「アズレンブルー」や「カモミールブルー」とも呼ばれます。
・アピゲニン
アピゲニンは、植物色素フラボノイドの一種です。こちらはカモミールの他にもグレープフルーツやたまねぎなどにも含まれており、先程のアズレンとはうって変わって黄色い色素を持っているため、染料などとしても使われています。
カモミールティーが黄色いのはこのアピゲニンの力なんです。
◆効能
・リラックス
カモミールに含まれる精油成分にはリラックス作用があります。

また、先ほどご紹介したアピゲニンには、神経を高ぶらせるドーパミンの貯蔵を行うタンパク質を活性化させる働きがあります。ドーパミンの貯蔵が促されると、気分が落ち着いてリラックスすることができます。
・安眠
カモミールには安眠効果があるとされ、かの絶世の美女クレオパトラも使っていたそうです。アピゲニンは脳内のGABA(ガンマアミノ酪酸)受容体と結合する性質があり、それによって神経系の活動が自然と鎮まります。そのため眠る1~2時間程前にカモミールティーを飲むと、気分をリラックスさせ安眠効果が期待できます。
・皮膚や粘膜を保つ
さきほどご紹介した「アズレン」という成分には、粘膜保護や皮膚を健康的に保つ効果が確認されています。

ヨーロッパでは昔から、カモミールを塗り薬として用いることもありました。これはこの粘膜保護の力を活用していたんですね。
・胃の調子を整える
粘膜が保護されることで、胃の調子も整います。また、リラックス効果がストレスを緩和してくれるため、ストレスからくる消化器官の不調には最適‼

食べすぎた後はもちろん、心身共に疲れているときは胃腸が弱ってしまいますよね。なんとな~く胃が気持ち悪くて、食欲もなくなってしまう……。そんなときは、無理してごはんを食べても逆効果です。カモミールティーを1杯飲んで、早々にベッドに入ってしまいましょう。
・生理痛緩和
カモミールには、体の中にある「平滑筋」という筋肉組織を落ち着かせる作用があるので、生理痛や腹痛といった痛みを和らげてくれる効果が期待できます。
カモミールは別名「マザーハーブ」とも呼ばれ、女性特有の辛い症状を緩和してくれるんです。ホルモンバランスの乱れによって不安定な心にも、カモミールの優しい香りが効きますよ。
◆デメリット
カモミールは古くから優れた効能のあるハーブの1つとして親しまれてきました。ハーブは厳密には薬ではありませんが、中には強い副作用が起きてしまうものもありますよね。

カモミールは、基本的に副作用の心配はありません。カフェインレスで飲みやすく、子どもからお年寄りまで安心して飲むことができます。ですが、そんな安全なカモミールティーも摂取を避けた方が良い人がいます。
・妊婦さんは注意!
カモミールティーはノンカフェインで優しい風味なので、妊娠中や授乳中であっても問題なく飲めそうに思えます。

しかし、カモミールは子宮を収縮させてしまう作用を持っています。妊娠中の摂取は控えるようにしてください。
・キク科アレルギーの人は注意!
カモミールはキク科の植物ですから、キク科アレルギーの方はカモミールティーの飲用を避けるようにしてください。もしキク科アレルギーの人が飲んでしまうと、ひどい花粉症の症状が出たり、発疹・喘息などの症状が出たりする恐れがあります。
◆カモミールティー
カモミールの最もポピュラーな楽しみ方はお茶にすること。ここではそんなカモミールティーの豆知識や美味しい飲み方をご紹介します‼
・ドライハーブ? フレッシュハーブ?
ドライハーブとは、市販されているカモミールティーのようにパリパリに乾燥させたものを指し、フレッシュハーブは摘みたてのみずみずしい状態を指します。

ドライハーブにすることで保存性と効能の2つがそれぞれ高まるというメリットがあります。しかしフレッシュハーブのほうが爽やかな風味と香りが楽しめますので、生のジャーマンカモミールが手に入ったらぜひそのまま飲んでみてくださいね。
・紅茶と混ぜてあることも
カモミールティーと一口に言っても、カモミールの乾燥花が100%使用されているものもあれば、紅茶葉などとブレンドしてあるものも存在します。

カモミールの花自体にはカフェインが含まれていないので、カモミール100%のものであればノンカフェインですが、紅茶葉とブレンドしてあるカモミールティーの場合は、紅茶の茶葉にカフェインが含まれているため妊婦さんや小さな子どもは気をつける必要があります。
・おすすめの飲み方
①飲みやすくする
ハーブティーは独特な香りを持つものも多く、苦手意識を持つ方も少なくありませんよね。カモミールティーは非常に飲みやすい種類とはいえ、香りの強さや味がちょっと……という方もいらっしゃるでしょう。

そんな方や子どもでも飲みやすくするには、ハチミツやミルクを加えるのがおすすめです。ハチミツを加えるとカモミールのリンゴのような甘さがより際立ちますし、ミルクティーにすればマイルドになります。特にカモミールミルクティーは、夜飲むとより安眠できますよ‼
②ハーブチンキを加える
カモミールティーにちょっと飽きてしまったという方は「ハーブチンキ」を足してみてください。
「チンキ(tincture)」とは聞きなれない言葉だと思いますが、生薬やハーブをアルコールに浸して作る液体のこと。水ではなくアルコールに浸すことで、ハーブエキスをより効率的に得ることができます。日本人にはあまり馴染みがありませんが、アメリカやヨーロッパではドラッグストアなどでも買うことができ、家庭でも日常的に使われています。
ハーブチンキは自宅でも作ることができますよ‼
〈作り方〉
①カモミールのドライフラワーをウォッカ(もしくはホワイトリカー)に浸し瓶に入れて密閉
②直射日光の当たらない所に約2ヶ月置いておく
③濾過して液体のみを抽出する
ハーブチンキを加えることで、より香りたかく濃厚なカモミールの風味を味わうことができます。
③生姜でポカポカに
こちらは冬におすすめの飲み方です。カモミール自体にも血流を高める効果がありますが、すりおろした生姜を入れることでより身体を温めることができます。

★生姜の詳しい効能を知りたい方はこちらをご覧ください
【古来の知恵は伊達じゃない】生姜湯は健康にも美容にも‼
・出がらしの活用方法
緑茶などはお湯を継ぎ足して何度か楽しむことができますが、ハーブティーは基本的に1度目でほとんどの成分が出てしまいます。とはいえ、たった1度でその出がらしを捨ててしまうのはなんだかもったいないですよね。実はカモミールの出がらしは飲み終わった後も簡単に活用できますので、いくつかご紹介します。
①消臭剤
まず、カモミールは消臭剤として使うことができます。

作り方は簡単。出がらしを新聞紙などの上で乾燥させ、小皿やガーゼの袋などに入れて置いておくだけです。靴箱や食器棚の中などに入れておくのがおすすめです。
ただし、しっかりと乾燥させきらないとカビなどの原因となってしまいますので、こまめに交換するとよいでしょう。
②入浴剤
出涸らしをお茶パック(麦茶などを作る際に使うもの)などに入れ、そのままお湯をはった浴槽に入れます。ガーゼの袋でもよいですが、お茶パックのほうがそのまま捨てることができるので便利です。

ほんのり残ったカモミールの甘い香りに包まれたバスタイムなら、1日の疲れがとけていくはず‼
③目のクマを和らげる
カモミールは血行をうながし、目の周りにかかる刺激を和らげるので、目の下のクマを減らすことにも効果的です。

2個の出がらしティーバッグをまぶたの上に置き、そのまま10分間リラックスします。それを外したら、目をぬぐって完了です。色素が目に残るとシミの原因となりますので、気になる人は洗い流してもよいでしょう。
・おすすめのタイミング
もちろん好きなタイミングで飲んでかまわないのですが、ここではカモミールティーの効果をより役立てられるタイミングをご紹介します。

それはやはり就寝前‼ リラックス効果や緩やかな鎮静効果が、眠りを上質なものにしてくれるはずです。ティーパックならサッと一杯分だけ用意できますよね。
カモミールティーでおやすみ前のリラックスタイムを上質なものにしてみませんか?
★よりよい睡眠を追求したいという方にはこちらの記事もおすすめです
良質睡眠のすゝめ ~睡眠ゴールデンタイムの「新」常識~
◆まとめ
いかがでしたか? 心と体をふんわりと和らげてくれるカモミール。

リラックス効果や安眠効果など、ストレスフルな現代人に嬉しい効果がいっぱいでしたね。カモミールの花は比較的育てやすいので、おうちで育ててフレッシュハーブとして飲んでもよいかもしれません。
一般的なハーブティーなので、スーパーなどでも簡単に手に入れることができます。あなたの毎日にもカモミールを取り入れてみませんか?
Photo:Getty Images
Text:K.S