FASHION ― 誰がアパレルを殺すのか

「10年先の靴のあり方」をデジタルで示す、エコーの未来予想図

2019.4.3 2019.4.3
2019.4.3

「3Dプリンターでカスタマイズシューズを作る」を実現!

15年ぶりに大規模改装を実施し、3月16日にリモデルオープンを果たした伊勢丹新宿店メンズ館の地下1階・紳士靴の目玉企画だったのが、デンマーク発のプレミアムシューズ&レザーグッズブランド「ECCO(エコー)」の世界初お披露目となるカスタマイゼーション・プロジェクト「QUANT-U(クアントゥー)」。クアントゥーのカスタムオーダーについては、アニキの記事に詳しく記載されている。

2年越しのプロジェクトが日本初披露!

「3Dプリンターでカスタマイズシューズを作る」という画期的な自社プロジェクトに着目し、日本で実現させたのがエコー・ジャパン代表の犬塚景子さん。

メンズ館での期間限定ポップアップが終了した感想を伺うと、「ファッションとデジタルの融合を店頭で実現することができました。クアントゥーというエコーが目指す“10年先の未来”の一端を実際に見ていただき、同時に今シーズンのエコーの靴も予想以上に売れて大成功でした」と顔がほころぶ。「クアントゥー」は4月23日(火)まで名古屋の松坂屋名古屋店 北館1階 紳士靴売場で開催中だ。


ECCO QUANT-U POP UP ストア 伊勢丹新宿店メンズ館 地下1階(※開催終了)
事業化されていない原石を社内で見つけた

――「クアントゥー」を世界に先駆けて日本に導入したのが犬塚さんだとお聞きしました。

犬塚 エコーの本拠地はデンマークですが、ホールディングスが出資するECCOイノベーション・ラボ(ILE)というデザインスタジオがアムステルダムにあります。ILEはイタリア人のパトリッツィオ・カルッチを代表に、「10年先の靴のあり方」を研究し、あらゆるイノベーションの開発に取り組むチームですが、トップの経営陣でも少数しか内容を知らない次世代シューズを極秘で開発していると耳にしたのが2年前。興味を引かれたので、パトリッツィオから説明を受けて、ほとんど完成していたシステムを見せてもらいました。

――アムステルダムを拠点にしている別動・特殊部隊というところですね。

犬塚 はい、私が見た段階で研究の成果物は世に出せるものでしたが、お披露目するまで2年もかかりましたね。

――研究の成果物を見たときにどう感じましたか。

犬塚 まだ事業化されていない原石を見つけた! というほどの価値を感じました。なんとかして日本で初お披露目をしたいと取り組んできましたが、3Dスキャナーも3Dプリンターも精密機器なので、実際に日本に持って来て稼働させて本当にその場でミッドソールが作れるのかは、正直ドキドキしました。


クアントゥーは、靴の心臓部ともいわれるミッドソールを完全カスタマイズで作製する
世界に一つのオリジナルミッドソールが快適さを司る

――実際にクアントゥーのミッドソールを履いてみてどう感じましたか。

犬塚 履いてみて衝撃的でしたね。今まで味わったことのない快適さを感じました。クアントゥーはスキャンデータとセンサーデータを用いて、インソール(中敷)とアウトソール(靴底)の中間部分となるミッドソールを作製します。3Dスキャナーで足の隅々まで立体的にスキャンし、ウェアラブルセンサーで実際に靴を履いたときのお客様特有の動きやクセまで正確に計測します。このデータを組み合わせて歩行の特徴をデータ化します。

――「靴の履き心地の70~80%はミッドソールによって決まる」というのは今回初めて知りました。

犬塚 エコーの靴は人間工学に基づいて足の凹凸に沿うよう独自に一体成型され、アーチサポートなども計算されて、長時間歩いても疲れないのが特徴ですが、完全カスタマイズされたクアントゥーでは、足と靴の隙間がぴったり密着するので、クアントゥーを履いて初めて「足と靴の間には隙間があったんだ」ということに気づきます。

――隙間があることは歩行にとってデメリットなんですね。

犬塚 はい、隙間があると不快感が出て、お客様の足が疲れやすくなります。足には個人差があり、甲が薄い、厚い、広い、アーチが高い、扁平気味、踵(かかと)の大小など千差万別です。一般にはその個人差を中敷きのみで調整する傾向にありますが、中敷きだけでは根本的な解決には至りません。エコーが取り組んできた一体成型製法を、さらに一人ひとりの足型や歩行に合わせてカスタマイズし、密着度を高めたのがクアントゥーです。


ミッドソールのハニカム構造がよくわかる

――なるほど。足と靴がぴったり密着することで、歩行に安定感が出て、履き心地も向上するわけですね。

犬塚 快適性を司るミッドソールのカスタマイズでは、アーチ部分の調整はもちろん、歩き方のクセに合わせてハニカム(六角形)部の角度が変わるなどの調整も行っています。シリコーン素材はそういう可変性と加工後の安定性に優れた素材で、店頭でデザインされたミッドソールを約60分で完成するのにとても適しています。

――足型の特徴はもちろん、歩行動作のクセや力のかけ具合などもデータ化されて、ミッドソールに反映されているということですね。

犬塚 例えば足にお悩みを持っている人の痛みを緩和する助けにもなりますね。実際、立ち仕事をしている人で、帰宅するときに靴を履き替えるとき、いつもはむくんでいるそうですが、クアントゥーを履いて仕事をして履き替えるとき、むくみを感じなかったそうです。

――それは説得力がありますね。


エコー・ジャパン代表の犬塚景子さん

犬塚さんが履いているクアントゥーミッドソール搭載のスニーカー「SOFT8(ソフトエイト)QUANT-U EDITION」のホワイト
伊勢丹新宿店メンズ館のポップアップで手応えを感じた

――他にはメンズ館でのポップアップでどんな反応・反響がありましたか。

犬塚 クアントゥーをニュースなどで知って全国からお越しいただきました。年代も幅広く、コンフォートシューズを求める中高年から、AIやITに興味がある20代まで多彩な年齢層だったのも特徴ですね。とても気に入っていただき、翌週にもう一足リピートされた方もいます。

――メンズ館ではアッパーのカラーバリエーションも豊富でした。

犬塚 はい、今回はエコーのベストセラースニーカーである「SOFT8(ソフトエイト)」を13色揃えました。アッパーの色違いを2~3色購入されていくお客様もいました。また、「市販の中敷きの調整では限界がある」というお話もいただきましたね。パーソナル・カスタマイゼーションの手応えを感じました。

――4月23日(火)までは、第2弾となるポップアップを名古屋で開催しています。

犬塚 メンズは今後の常設も視野に入れて、ポップアップでトライアルしていきます。ウィメンズは8月28日(水)にリニューアルする伊勢丹本館の婦人靴フロアに初のレディースのクアントゥーが常設になります。

――クアントゥーが本格的に稼働すると足のビッグデータが集まりますね。

犬塚 3Dプリンターの精度を上げていくのはもちろんですが、世界6ヵ所にあるエコーの製造工場でのより高性能な靴づくりにデータを活用したいと思います。


全13色のカラーバリエーションを揃える「SOFT8(ソフトエイト)」のスペシャルエディション。SOFT8 QUANT-U EDITION 7万6000円(税抜)
ビジネスマンからスポーツマンまでエコーを履く理由

――エコーの靴の勢いを見ていると、ビジネスウェアのカジュアル化、コンフォート化とマッチして、ちょうど選ばれる絶妙のポジションにあると思います。

犬塚 エコーの靴は、「年齢を選ばないスタイリッシュなコンフォート靴」です。今シーズンから西武ライオンズのオフィシャルビジネスシューズサプライヤーになりましたが、選手から「球場入りする移動のときに足が疲れる。最高のパフォーマンスを発揮できる靴を履きたい」という声をいただき、2019年春の新作「ECCO ST.1 HYBRID(エコー エスティー.ワン ハイブリッド)」と「ECCO VITRUS(エコー ヴィトラス)」を提供しています。

――確かにビジネスマンの営業の人はもちろん、移動の多いスポーツマンや出張の多いサラリーマンは空港や駅など、かなり歩きますね。

犬塚 エコーのビジネスシューズはアッパーが革なので、オンビジネスからアフターまでこれ一足でOKです。出張や旅行、オンオフまでオールマイティに履いていただけますね。

――では、フォルツァの読者へメッセージをどうぞ。

犬塚 エコーは、1963年にデンマークで創業し、最高の履き心地を追求し続けています。原材料となるレザーの鞣(なめ)しは世界で4ヵ所のタンナーを運営し、BtoBが50%を占め、アップルのiPad、iPhoneケースとApple Watchのレザーベルトはエコーが供給しています。

また、アウトソールに使うPU(ポリウレタン)まで加水分解しにくい素材を自社で調合し、デザインから革の鞣し、靴の製造流通販売に至るまで、すべて自社で管理・運営する世界でもユニークなブランドです。忙しいビジネスマンでも一日頑張ることができる靴なので、ぜひ試着して履き心地の良さを実感してください。

――それで気に入ったら、次のステップはクアントゥーですね。

犬塚 市販の靴もクアントゥーも考え抜かれて作られているので、今までになかった新しい履き心地をご体験ください。

「クアントゥー」松坂屋名古屋店ポップアップ
日程:2019年4月23日(火)まで
場所:松坂屋名古屋 北館1階 紳士靴売場
愛知県名古屋市中区栄3-16-1
営業時間:10:00~20:00
予約サイト:https://quant-u.jp/

【問い合わせ】
エコー・ジャパン株式会社

0120-974-010

https://jp.ecco.com/

Photo:Shimpei Suzuki
Writer:Makoto Kajii

Author profile

梶井 誠
梶井 誠
Kajii Makoto

今はなき講談社のメンズファッション雑誌『Checkmate(チェックメイト)』編集部のファッション班を経てフリーランス。セレクトショップのカタログやメンズ雑誌のファッションページの取材・原稿を担当。SKE48箱推し、フィロのス・奥津マリリ推し、ジュビロ磐田サポーター。1961年福井県出身。

KEYWORDS
エコー ECCO

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