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FASHION 赤峰塾!間違いだらけの洋服選び

植物の奥深い世界を、ドクトル赤峰と一緒に覗いてみる

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ジェントルマン道を極めるドクトル赤峰とファッション界のレジェンドたちが、イマドキファッションの風潮やヤワな着こなし、ガッカリスタイルなどをスパッと一刀両断! 男として、あるいは女として、「清く、正しく、美しく」生きるために必要な服装術や、服を着ることの意味・意義をストレートに語り尽くします。

“植物が持つ力”は不可欠なものに

日本人の中に歴然とある「色」に対してのセンシティブさ

ボタニカルダイ(染め)を20年研究している菱川恵介さんが代表を務める株式会社シオンテックには植物サンプルが約3000種あり、それを染料化するシステムとデータを持っています。「染め」というと衣類を連想しますが、身の回りを見渡すと化粧品から食品、食器、建材などまでとにかく広く使われていて、さらに抗菌・防臭など“植物が持つ力”はライフスタイルの進化とともに不可欠なものになっています。

3000種の植物からどんな色が出るのか?

赤峰 菱川さんの会社の研究がすごいのは、「営業はしない」のに、世界を網羅するグローバルスポーツブランドなどからのオファーが引きも切らないことですね。

菱川 私たちは「ひとつの植物がどんな力を持っていて、どんな色が出るのかを研究し、データ化」しているわけですが、それは商品企画の発想の元なので、それをアシストする役、サポート役なんですよ。

赤峰 いやいや、グローバル企業が門前列をなすのは、菱川さんが大きい概念の枠の中でやられていることが伝わっているからですよ。

菱川 私たちは植物から抽出する染料の濃度とPHをデータ化していますが、たとえば、「奈良の吉野の桜」や「千鳥ヶ淵の桜」などのトレーサビリティ(追跡可能性)などもきちんと統計をとっています。

赤峰 植物染料のオリジナルを作るためのシンクタンクなんですよね。

菱川 お客さまはクリエイティブに関わっている方を優先しています。

赤峰 菱川さんの会社は「植物図鑑にある種、約3000種の植物からどんな色が出るのか?」を全部把握しているのがすごいです。

顧客のオリジナル商品のための企画を提案し、社会に貢献

赤峰 「染め=色」は私たちの身近にたくさんあるのに、普段はあまり意識しませんよね。

菱川 そうですね。たとえば今、抹茶ブームですが、お茶には緑色の色素があって繊維や化粧品にはもちろん、樹脂の中に入れ込むことができます。病院のトレイなどに抗菌作用の植物を入れたりしていますね。

赤峰 ボタニカルダイというと「伝統的なもの」という感じもあると思いますが、たとえば合繊に化学染料で染めたものと、合繊にボタニカルダイを施したものを比べると、後者は紫外線カットが10%ほどアップするというデータもあって、そういうことをグローバルなスポーツブランドはいち早くキャッチアップするわけです。

菱川 赤峰さんが言われた通り、草木染めは紀元前からあって、タンニンやポリフェノールに抗菌性と消臭作用があることを知っていて、病気の菌を防いでくれていたわけです。

赤峰 本当に昔の人の知恵は素晴らしいですよ。僕や菱川さんが一生懸命調べていることを全部身をもって知っている。

菱川 本当にそうですね。「色を出す=染める」ことによる効果や効能をきちんと自分たちの生活の中に取り入れていました。先人の知恵と、今私たちが調べていることが近かったわけです。

赤峰 菱川さんの研究と成果は、後世に残る、繋げていかなければならないものですよ。


お茶の葉から抽出した染料を使用したタオルやプラスチック製コップ。右は抗菌作用を加えたトレイ

今の地球や自然は怒っているのかもしれない

菱川 私はこういう研究をしていますが、一番必要だなと思っているのは、「領域や境界をまたげる人」なんです。赤峰さんはそういう理想の人にとても近い。

赤峰 いやいや、ありがとうございます。

菱川 赤峰さんは洋服の原型から知っていて、もっと奥底にある人間の本質まで「何だろう」と求めているのがわかります。私たちもボタニカルダイをそうやって追求していきたいと思っています。

赤峰 菱川さんは、そもそも植物のどういう点に惹かれたんですか?

菱川 「人間は植物によって生きている」という本を読んだんですよ。植物は陰ですが、植物を活かす水と太陽と土は陽の存在で、光合成など化学反応で生きていく世界です。人間の身体のしくみが科学の進歩とともに解明していくように、「このお米が美味しい」というのも水や土、稲の遺伝子が影響しているわけです。そういう自然界の真理のようなものが、これから先の未来に必要になるかもしれないので、その用意をしたいと思っています。

赤峰 今の地球や自然は怒っているのかもしれないですね。本来人間が持っている「自然に対する敬意」がないのではないかと。

菱川 昔は「~をしてはいけない」と自然界にタブーがたくさんありましたが、効果や効能を知った上で、私たちの生活の中に取り入れる「新しい形」が必要なんじゃないかと思って続けていきます。どこかで役に立てばいいんですよ。

赤峰 菱川さんの見つめる未来は、もっと新しいものですね。ありがとうございました。

「ドクトル質問箱」では、赤峰さんへの質問をお待ちしています。こちらforzastyle@kodansha.co.jpまで質問をお送りください。

ジャパン・ジャントルマンズ・ラウンジ
http://j-gentlemanslounge.com

Photo:Riki Kashiwabara
Writer:Makoto Kajii



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