意外と知らない「潔癖」の境界線
読者の皆さまは、「潔癖症」という言葉を聞いて、どのようなことをイメージするでしょうか。「自分、潔癖症なんだよな……」という方、「潔癖症の人とは相いれない」という方、様々だと思います。最近では潔癖症を自称する芸能人なども増えてきて話題になっていましたが、本来「潔癖症」とはどのようなものなのでしょうか? 本記事で徹底リサーチ致します!
目次
■きれい好きとの違い
きれい好きとの違い

度が過ぎたきれい好きのことを潔癖症と呼びますが、実は正式名称があります。医学的には「不潔恐怖症(汚染恐怖症)」と言うそうです。恐怖症の一種なのですね。
「きれい好き」の場合は、大抵の場合「清潔が好き」という場合が多いでしょう。掃除や洗濯、お風呂に入ることなんかも、自分の快適な生活のために行っているということです。しかし、「潔癖症」になるとそれが一変し、不潔を取り除くために半ば儀式のように掃除などを繰り返すんだそう。自らの快適な生活のためにというよりは、そうするしかないという強迫観念であると言われています(そのため、洗浄強迫とも)。
潔癖症の場合は日常生活に支障をきたすほどの感情であることが多く、苦しんでいる人も多くいらっしゃいます。「きれい好き」とはかなり離れたものと言えましょう。
強迫性障害とは
では次に、皆さんは強迫性障害という言葉をご存知ですか? 前項で潔癖症は「強迫観念」の一種だと言いましたが、具体的にどのようなものなのでしょうか。
定義は「不合理な行為や思考を自分の意に反して反復してしまう精神障害の一種」であると言われています。不合理な行為というのは、汚れは落ちたとわかっているのに手を洗い続けるなど、自分でも無駄だとわかっている行為のことを指します。
重い潔癖症はこの強迫性障害に該当し、潔癖症(洗浄強迫)の他には加害恐怖(他人に迷惑をかけているのではないかという強迫観念)や疾病恐怖(自分が不治の病や凶悪なウィルスに侵されているのではないかという強迫観念)などが挙げられます。
潔癖症の特徴
潔癖症の人々には、このような特徴があります。チェックしてみると、意外と当てはまったりするかも……?
・几帳面
潔癖症全体に言えることとして、かなり几帳面な性格をしています。職場でも家でもとにかく整理整頓されていないと気が済まない!という方、いらっしゃるのでは? 潔癖症の人は綺麗じゃないと落ち着かないので、身の回りをせっせと綺麗にします。ただ、もちろん几帳面=潔癖症というわけではありません。「あの人、すごく整理整頓を気にするよな……」と思ったとて、潔癖症であるかどうかはわかりません。程度によりけりですね。
・心配性

「戸締りをしたか何度も確認してしまう」「手を洗っても汚れがとれていない気がする」など、不安がとれにくいのが潔癖症の特徴です。特に、見えていない「想像の汚れ」を恐れ、そこへ注力してしまい、結果疲弊する人が多いようです。
・集中力が高い
掃除でも歯磨きでもなんでも、その時していることを突き詰める傾向にあります。決めたゴールまで一直線なので、非常に集中力が高いと言って良いでしょう。ただ、この集中は強迫観念によって起こるものですから、一概に良いこととは言えないかもしれません。
・自分ルールが激しい
上記の通り、潔癖症の人は自分の決めたところまで集中して物事を行います。いくら洗っても汚れが気になるという人は、「あと3回洗ったら終わりにしよう」など、独自でルーティンを決めていることも多いハズ。そのため、様々なことに自分ルールを設定します。自分の中だけならまだしも、極端なケースだと「私の部屋に入るときはこの服に着替えて!」などと他人に強要する人もいるそうですよ。
・公共のものを避ける

学校、職場、駅、図書館etc……誰が触ったかわからない公共物に関わるのは潔癖症の人にとって恐怖以外の何物でもありません。特に顕著なのは電車やバス。つり革を掴むのは無理だからその上のひもの部分をつかむ、臭いが気になるからマスクは必須、やっと前の席が空いた!という状況でも他人との距離が気になって座れないなど、潔癖症にとって電車やバスは地獄のようなもの。ハンカチやティッシュを介し、素手で触るのを避けるという方法をとっている人が多いようです。
潔癖症の人が汚いと感じるもの
・トイレ
最初はお察しの通り、お手洗いです。便座、トイレットペーパー、ウォシュレット、どれも汚すぎてとてもじゃないけど触れないそう。デパートの綺麗なトイレならまだましという人もいますが、便意を催そうが尿意を催そうが、できるだけ外ではトイレに行かないという人がメジャーです。ただ、家のトイレは別。自分でしっかり掃除しているし、落ち着くからむしろ好きという声も。
・手作りの食べ物

他人が作ったおにぎりや寿司、ハンバーグが食べられない人は多いです。手はちゃんと洗っているのか? キッチンや調理道具は衛生的か? 唾などが入っていないか? など、様々な不安が入り乱れるのがこの「手作り」。しかも「いらない」と言ったら失礼にあたるかも、と考えたりしてひどくストレスになっている場合もあります。「目の前でゴム手袋をして作ってくれるのなら大丈夫」という意見もあり、もう潔癖症の人には手作りではなく既製品をプレゼントするのが無難という他ないでしょう。
・屋台の食べ物
上とは少し違う理由ですが、またもや食べ物シリーズです。お祭りを楽しみたい気分はあるものの、不特定多数の人間に触られて外気にさらされている調理道具で作られた食べ物はどうしても受け付けないんだとか。どうしてもお祭りに行きたいときは、ビールをコンビニで買ってお祭りの雰囲気を楽しむという案がおすすめですよ。
・温泉
旅行に行っても、温泉や大浴場には入らず絶対に部屋風呂。いくらリラックスしていても、髪の毛が浮いているのを見ると途端に冷めてしまうそうです。それに毎日お湯を張り替えているかどうかわからない場合、それも気になってしまうんだとか。同じ理由で海やプールもなかなか厳しいようですね。
・エレベーター

これはエレベーターが満員・汚いというよりも、ボタンが押せないのが問題です。上着をかぶせて押したりティッシュをかぶせたり、爪の先端で押したりと皆さんなかなか苦戦している様子。カラオケのタッチパネルや共用パソコンのキーボードなんかも、潔癖症にしてみたら信じられないものなのですね。
・動物
見た目はかわいい。それはわかる。でも、ペットだろうが野良だろうが動物は動物です。人間と違って汚い場所にも平気で転がるし、糞尿もほぼそのままだし、そもそも常に地面にくっついている。そのため、見るのは平気でも触るとなると拒否反応が出るし、抱っこなんてもっての外。ただ、知り合いのペットを「可愛いでしょ」と見せられると拒否できるはずもなく……悩ましい事態になってしまうようです。
・ネットでの買い物
ネットオークションやフリマアプリは、潔癖症側からすれば「売る専門ツール」です。保管状態や使用状況などがはっきりと確認できないため、買うのは気が引けてしまいます。また、新品でも配送状況などが気になってしまい、やはりネットでの買い物はあまりしないという声が多そうです。
「部屋が汚い潔癖症」

ここで、意外なものを1つご紹介します。なんだこれは?とお思いの方も多くいらっしゃるでしょう。言葉を聞いただけではまるで「白いカラス」のようなもの。でも、実はこれ、普通に起こり得ることなのです。
理由その1:無機物はいくらあっても気にならない
そこそこ多いのがこの理由。人の汗、動物の糞尿、虫全般、菌全般、それぞれ無理なものはありますが、無機物に関しては特に気にならないというケースです。服(※しっかり洗濯済)が溜まりに溜まって汚部屋化している……なんて潔癖症は、少なくないそうですよ。
理由その2:自分のやったことならOK
次は、他人のやることや持ち物が気になってしまうけれど、自分の行為の結果なら大丈夫というケース。こう書くと自己中な感じがしますが、つまりはものの経緯がわかっていればOKということです。わからないからこそ「不衛生なのでは?」という想像が働いてしまい、そうするとダメなのです。
理由その3:そもそもマジで汚いところに触れない
最後に、本当に本当に潔癖だからこそ埃やカビという汚いものに近寄れない=掃除もできないというケース。掃除はもちろんしたいのだけれど、そういう「汚いところ」に触れるのにかなりの勇気を要するんだそうです。確かにそう考えれば納得ですね。