無駄を嫌う、量より質な人々
突然ですが、アナタのお部屋は綺麗ですか? クローゼットの中は整理されていますか? 仕事の忙しさにかまけて部屋はほったらかし……なんて状態、続いていませんか? お部屋がスッキリ片付いていると、作業するとき何をするにしても気が入りやすいですよね。そんなスッキリ状態を極めた究極のライフスタイルがあります。その名はミニマリズム。このスタイルをしている人たちをミニマリストといいます。数年前、断捨離という整理法がムーブメントを引き起こし、この単語が生まれるほどになりました。皆さんも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。
そんな知っているようで知らないミニマリストとはなんなのか、ご紹介いたします!
目次
ミニマリストとは?
ミニマリストの生活形態
有名なミニマリストたち
ミニマリストの暮らしぶり
>部屋
>持ち物
>服
>食事
>財布
メリット
>物を探す時間が省ける
>作業に集中できる
>フットワークが軽くなる
>無駄遣いが減る
>好き嫌いがはっきりする
>掃除が早く済む
>心に余裕が生まれる
>前向きになる
イザ! ものの捨て方
1)片づけをする範囲を決める
2)範囲にあるものをすべて出す
3)必要か、不必要かで分ける
4)決めきれないものを仕分ける
5)収納し直す
デメリット
>緊急時に対応できない
>人を呼べない
>神経質になる
>人を巻き込みがち
>病的になってしまう
ミニマリストのおいしいとこ取りを
ミニマリストとは?
「最小限の」という意味のミニマル(minimal)から派生したもので、最小限主義者を意味する造語です。持ち物をできるだけ減らし、必要最小限のものだけで暮らすことを主義とする人を指します。彼らは「これが欲しい」「あれを買いたい」という物欲と距離を置き、更に必要のないものを捨てることで、代わりに心や空間に余裕を生みだし、空白の気持ちよさを大切にします。無駄なことを嫌い、自分にとって本当に必要なものだけを持つことでかえって豊かに生きられる、という「持たない贅沢」を味わうことがミニマリズムです。「とにかく減らす」志向ではなく、逆に「大事なものに集中するために、いらないものを捨てる」という考え方が本質です。
2010年ごろから海外で話題になり、日本に流入。現代の大量消費・大量生産社会において、新しいライフスタイルとして数年前から注目を集め始めました。2015年ユーキャン新語・流行語大賞にもノミネートされたほど。
ミニマリストたちは、なぜミニマリズムを実践しようと思うのか。理由は人それぞれですが、現代の大量消費社会に嫌気がさし、反動精神でシンプルな生活を送りたくなったからという人が多いようです。また、たくさんものがある状態にストレスが溜まっていたから、お金を貯めたくて生活をミニマム化しようと思ったから、合理的に暮らしたいから、など様々です。
ミニマリストの人は貧乏という印象がありますが、実際のところとしては、むしろ裕福であり、捨ててもまた買えばよいという心の余裕からくるパターンと、本当にものを買えず持てず、単純に所有物が少ないだけというパターンがあります。
ミニマリストの生活形態
ミニマリストに多い生活形態は、やはり一人暮らしです。誰に気を遣うこともなく好きに部屋をいじれますし、好きにものを捨てることができます。自分さえよければがらんどうの部屋にしてしまってもよいわけです。ミニマリズムを極めている人には一人暮らしが多く、スーツケースにすべての荷物を入れてしまえるほどの人もいます。
家族全員がミニマリストという家庭もあります。そういった家族は少ないもので生きる幸せを理解しており、協力してミニマリズムを実践しています。
一方その家の奥様だけがミニマリスト! というパターンもあります。家を管理する主婦がミニマリストであると、ものもこまめに捨てられスッキリとした環境を保つことができます。
有名なミニマリストたち
ミニマリストなんて、超少数派がやってることじゃないの? なんて思ったそこのアナタ! そんなことはありません。多くの著名人がミニマリズムを実践しています。
● スティーブ・ジョブズ(Apple CEO)
● マーク・ザッカーバーグ(Facebook CEO)
● バラク・オバマ(前アメリカ大統領)
● 高城剛(ライター、クリエイター)
● 中崎タツヤ(漫画家)
● 島崎和歌子(タレント)
● 堺雅人(俳優)
● 北川景子(女優)
過去の人では、マハトマ・ガンジー(弁護士、宗教家、政治指導者)やアインシュタイン(物理学博士)などが必要最低限のもので暮らす生活をしていたといいます。ミニマリズムの精神は古くからあったものなのだと言えますね。
ミニマリストの暮らしぶり
では、実際にミニマリストたちの暮らしぶりをのぞいてみましょう。
>部屋
まず、土台となるその部屋には、基本的にものを置きません。観葉植物や写真や置物といった飾りものはもちろん、ダイニングテーブルやソファ、テレビといった家具ですら置かないこともあります。もちろん個人差はありますが、軽い人でも何もない部屋を一室つくる人が多いですね。周りのものに刺激を受けず、一人で落ち着ける空間を必要とするからです。
あえて収納スペースを作ることもなく、またスペースがあってもわざわざそこにものを置くことはしません。彼らにとって、何もない空間とは自由な空間を意味するのです。すごい人は、モデルルーム?! というくらい、本当に「無」だったりします。
>持ち物
ミニマリストが好んで必要とするのは、多目的に使えるもの、邪魔にならないもの、そして機能性が高いものです。例えば、折り畳み式のマットレス。ベッドになったり座椅子になったり用途が様々なうえ、畳んでしまっておけます。小さいベンチは座ったり踏み台にしたり作業台にしたり。また、多目的な利用ができる機能性の高いアイテムがあれば、他の代用品になります。たとえば、パソコンがあればTVや新聞、本やCDコンポはいりません。コンパクトなサイズ感が必要基準であることは言わずもがなですね。持っている物の数を減らすために、一つ一つの質が求められるわけです。ミニマリストは、何もかもをやみくもに捨てまくる! というわけではなく、必要なもののみで効率的に暮らしているだけなので、逆に必要なものはとことんこだわります。量より質なのです。そのため物持ちがよく、頻繁に買い物をする必要もないという好循環が生まれています。
>服
続いて、服です。多くのミニマリストは、自分の定番コーディネイトを決めており、それを決めたサイクルで身につけています。服を選んで悩む時間がいらなくなって楽なので、お決まりのパターンというものを用意しておくんですね。まったく同じ服を複数枚購入して、毎日まったく同じ服を着るというツワモノもいます。
服の判断基準は、シンプルで着回しやすいもの。これも長く使い続けるために、最初に買うとき気に入るものが見つかるまでじっくりと選びます。白シャツにデニム、スニーカーなど、活躍頻度の高いベーシックなアイテムをよく好みます。また、質を重視するため、清潔感にもこだわります。気に入った服は長使いするためにも丁寧に管理しますが、寿命がきてしまったものは思い切って処分します。その思い切りの良さもミニマリストならでは。所有している服の数は、一般的には1人あたり1シーズン25着と言われていますが、ミニマリストは1シーズン10着前後でおさめています。
前出のスティーブ・ジョブズはほぼ毎日黒のタートルネックとジーンズ、スニーカーで通していたことで有名です。これには理由があり、「決断疲れ」を回避するためです。服を選んで決める、ということはとても些細なことですが、どんな小さな決断でも確実にエネルギーを消費します。そしていざというときの大きな判断の正確性が下がってしまうそう。世界の成功者たちには、決断すべきことが日々山のようにあります。そんな中、どんな服を着るか決断するという行為は無駄なものであるという理由から、同じ服を着る人が多いんだとか。
>食事
人間の三大欲求の一つでもある食事も! カットできるところはカットしちゃうのがミニマリスト。しかし、食べないというわけではなくこれも必要最低限なだけで、実はミニマリストには健康重視な人が多いのです。
ワードローブと同じく、食事においても定番メニューを決めている人が多いようです。献立選びに悩むこともなく、朝はヨーグルト、昼はサプリメント、夜は一汁三菜の和食、など。やはり食べる量はミニマリストですから少なめです。基本的に日々穏やかな生活を送っているので、摂取エネルギーも少なくて済むという面もあります。また、自炊派のミニマリストがよくやっているのが、常備菜を作ることと、お弁当を作ること。和え物や漬物など、定番のおかずがあると献立に迷わないし、それでお弁当をつくることで無駄な昼食費を使うこともなく栄養バランスもとれます。
>財布
とにかく無駄にかさばるものが嫌いなので、もちろんお財布もコンパクト。三つ折りのものや、二つ折りのものなどで、入れるカードは保険証、免許証、クレジットカードのみ。レシートは捨てるタイミングをその日の夜とか週末とかで決めています。常に財布の中はスッキリさせておくのがミニマリスト流ですね。小銭を使わない人や、すごい人だと現金のやり取りを煩わってすべておサイフケータイを利用する人も。
メリット
ミニマリストであることによって生まれるメリットは以下が挙げられます。
>物を探す時間が省ける
持っているものの数が圧倒的に少ないため、どこに何があるかはたいてい把握できてしまいます。「アレどこに置いたっけ」と部屋中かき回すこともありません。
>作業に集中できる
生活にノイズが少なく、何かに気を取られたり誘惑にかられることもほぼありません。人間の脳は、視野にあるものに意識がいって情報処理をし始めます。そもそも視野に入るもの自体が少ないため、自然と目の前の作業に集中できるというわけです。
>フットワークが軽くなる
何か行動を起こすということに対して、こと腰が軽くなりやすいです。まず、服を選ぶ時間も要らず持つものも少ないので、外出準備にほぼ時間がかかりません。そのため、家を出ることへのストレスが軽減します。自分が身軽なため、新しいことに手を出すときも比較的エネルギーを使わずに済みます。
>無駄遣いが減る
そもそもものを持ちたいという気持ちがほぼないのですから買い物が減ります。ちょっとした小物も、必要かどうか一瞬考えるようになるため、浪費しなくなるのです。そうでなくてもミニマリストは無駄なことを好まないので、極力お金は使わないように財布を管理し始めるようになります。
>好き嫌いがはっきりする
ものを捨てる際にいるかいらないかの選択をする機会が多いため、自然と好き嫌いがはっきりするようになります。自分の好みがわかるようになってくるため、買い物も時間がかからなくなるんですね。
>掃除が早く済む
ものが少ないですから、引き出しからものを出したり棚を動かしたりしなくてもすぐに掃除が終わります。ミニマリストには潔癖症や掃除好きが多いので、これは最大のメリットと言えるでしょう。
>心に余裕が生まれる
部屋に空白が多くなり、生活からノイズが激減します。ゆっくり穏やかな気持ちで生活することができるようになるため、心にゆとりが生まれるのです。
>前向きになる
いらないものを排除し、自分の気に入ったものだけに囲まれて暮らすということはとてもストレスフリーです。その部屋で生活する上でもので悩まされることがなくなり、マイナスの思考が生まれにくくなるため、基本的に前向きな気持ちを維持し続けられるようになります。