先日、カンニング竹山氏がレギュラー番組内で「小池百合子氏」に批判的な発言をしたところ、その翌週は出演していなかったことから「百合子に干された!ひどい」と一部SNS界隈で話題になっていました。
実際は単に「月1レギュラー」だからであり、騒ぐ前にちゃんと調べようぜという話なんですが、その竹山氏、日ごろから政治的に突っ込んだ話をしつつも、実は各方面に気を遣ったバランスの取れた発信をされている方だと思っています。
まあこの手の「タレント発言」騒動には、毎回決まった流れがあって、
1.タレントが政治絡みの発言をする
↓
2.その発言が批判される
↓
3.タレントは政治的発言NGなのか(怒)
↓
4.SNSで殴り合いスタート
高確率でこのパターンに陥りがちでして、ちなみに「3」の発信元はSNS界隈だったり、マスメディアだったり、タレント本人だったりします。
以前、小泉今日子氏や東ちづる氏が「歌手やタレントが政治的発言をするな、みたいに言われる」(小泉氏)、「タレントにはおバカでいてほしいのか」(東氏)とボヤいていましたが、あの、ソレちょっと違うかも……だってその文脈で騒いでいる人って、正直あまり見かけないから。
過去、ご本人たちが感じてきたソレは「歌手やタレントが政治的発言をしたこと」ではなく「発言内容」に対するツッコミであることが殆どでした。タレントだろうが一般人だろうが、オープンな場でものを言えば指摘や異論も起きる。これは当たり前の話であり、そこに事実誤認や間違いがあれば、タレント云々は関係なく指摘される。これも当たり前の話です。
それがなぜか「タレントは黙っていろ」批判に脳内変換されてしまい、そこにファンの擁護や「党派性の絡んだ応援団」が参戦してメチャクチャになり、せっかくの発信力、問題提起がちゃんとした議論にならず殴り合いで終わることが……多いんですよね。何とも勿体ない話です。
CM降板は別問題
タレントだろうが歌手だろうが、好きなことを言えば良い、皆と平等に議論すれば良いと思います。ただ好きなことを言いまくった結果……例えばCM出演がキャンセルされたり、仕事の依頼が減ったとしたら、それは昨今話題の「キャンセルカルチャー(※)」とは似て非なるもの、ここも重要です。
(※キャンセルカルチャー:「自分にとって気に入らない言説、振る舞いをした個人・組織」に対して、不買運動やボイコットをして、社会から排除しようとすること)
そもそもCMって「幅広い人に好かれる」ために作っているワケで、何よりタレント自体が幅広い人に好かれることで成り立つ「人気商売」ですからね。好きなことを言いまくって、その「幅広さ」を狭くすれば、仕事が減ってしまうのも当然なのです。
そんな覚悟もなく発言し、仕事が減ってしまって「キャンセルカルチャーだ!」と憤るタレントさんがいますが、流石にそれは筋違い。単に自分で自分の商品価値を下げてしまっただけでしょう。キャンセルカルチャーではありません。
非常に党派性の強い発言を繰り返している「あるお笑いタレントさん」がおりまして(いますよね)、残念ながら「笑い」ではあまり話題になっておらず、ご自身はそれを「政治的な発言で干されてる」みたいに思われているようですが、すみません、あなたの場合はシンプルに面白くないだけです。
だって爆笑問題の太田光氏。あれだけ党派性の強い発言を繰り返そうが、アンチが沢山いようが、ちゃんと仕事があって笑いも取ってますよね、そういうことです。
もっとすごい例もあって、まあ詳しくは書きませんが
「おかき 街宣車」
で画像検索してみて下さい。これで商売が成り立っているとのこと。なぜなら商品がちゃんと美味しいから(あるアンケートでは「思想には賛同しないが商品はうまい」が7割を占めていたそうな)。
いろんな面倒ゴトを飛び超えるほどの実力があれば、余計な苦労もしつつ、好きなことを言って好きなように議論しながら、仕事もしっかり続けられるということでしょう、うーん、強い。
Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)
※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。