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「彼氏がイッパイいたって良いじゃない!」
ソクラテスならこう言うね
〜恋愛・ビジネス相談所〜

2016.4.20
2016.4.20

人は、複数のパートナーを愛せてしまうもの。

カント、デカルト、ニーチェにソクラテス...。歴史上の哲学者たちは、あまりに偉大ですが、いまその肉声を聞くことはできません。

でも安心してください。分厚い哲学本に閉じ込められた賢人の知恵を、わかりやすく教えてくれる哲学者が、この極東の日本に存在します。その名も、小川仁志先生。

人生経験豊富な小川先生だからこそ、ミドルエイジの恋やビジネスの悩みを、哲学者の教えを引きながら的確に解決します。小川先生は京大卒業後のバブル華やかなりし頃、「伊藤忠商事」に入社するも退職し、その後4年ものフリーター生活を経て名古屋市役所に入庁。その後哲学者となった異色の経歴の持ち主です。

そんな人生経験豊富な小川先生だからこそ、ミドルエイジの恋やビジネスの悩みを、哲学者の教えを引きながら的確に解決します。さて、第7回目の相談者のお悩みを紹介しましょう。

Q.好きな人を一人に絞れません

こんにちは。28歳のOLです。今、よく遊ぶ男の人が4人います。20代の学生、30代の広告マン、40代の経営者、50代の資産家です。みんなそれぞれに素敵で、会うたびに「この人が一番好きだな」と思ってしまいます。

なかなか一人に絞れません。相手も相手で、4人ともすごくモテる人なので、私も彼らの「複数の女の中の一人」なのだと思います。そんなことを考えると、ますます一人に絞るのが怖いです。どうしたらいいでしょうか。

A.人は一人を好きにならない。一人に絞らされるのだ

好きな人を一人に絞れない。そんなことを聞くと、気が多い人だとか、不謹慎だとか、挙句の果てにはふしだらだというようなイメージまで持たれてしまうのではないでしょうか。きっと複数の恋人がいて、変わるがわる肉体関係を持っているかのような想像をするのでしょう。

どうしてそれが悪いことであるかのようにいわれるかというと、民法第732条に一夫一婦制の定めがあるからです。「配偶者のある者は、重ねて婚姻をすることができない」と。でも、これはあくまで重婚を禁止した法律であって、そもそも内縁が禁じられているわけではありません。ご存じのように不倫をしている人だってたくさんいます。何より、まだ結婚もしていないなら、なんら問題ないようにも思います。

いや、結婚だって一夫一婦制が絶対に正しいというわけではありません。実際、イスラーム諸国の中には、一夫多妻制をとっているところがありますし、モルモン教原理主義者の人たちも一夫多妻制のもとで生活をしています。アメリカのユタ州では2013年に、事実上彼らの一夫多妻制を合憲とする連邦裁判所の判決が出ているくらいです。

一夫多妻制のことをポリガミーといいますが、とりわけ同性婚の合法化が進む中、アメリカではポリガミーも認めるべきだという議論が盛んになってきているのです。たしかに、同性婚が個人の自由や平等といった基本的人権の保障の観点から認められるなら、ポリガミーも認められていいようにも思えてきます。そうなると、複数の相手と付き合うのは、益々問題ないのではないでしょうか?

よく考えてみると、誰だって複数の人を好きになったことがあるはずです。ただし、順番に好きになっているだけです。その際、移行期には多少の重なりも出てくるでしょう。前の恋人から新しい恋人に急に変わるわけではないはずです。人間の心はそんなに単純ではありません。特に問題なのは、複数の相手との恋愛に際して、男性には寛容なくせに、女性の場合はそれが大罪であるかのようにみなしてしまう風潮です。男なら複数の彼女がいるのは武勇伝で尊敬されるのに、女性だと軽蔑される。これは平等の観点からおかしいといえます。

かつてフランスの女性思想家ボーヴォワールは、『第二の性』の中でこう指摘しました。「人は女に生まれない。女になるのだ」と。女性は生まれたときは男性と同じく平等なのに、社会の中でどんどん女性らしくしなさいといわれて、不平等な立場に追いやられてしまうという皮肉です。このボーヴォワールの鋭い指摘をもじっていうなら、「人は一人を好きにならない。一人に絞らされるのだ」といえるのではないでしょうか? もちろん、そのほうが社会にとって都合がいいから。複数の相手と付き合うのは、一夫一婦制にとって好ましくありません。誰か一人を好きになって、その人と結婚するのが理想だからです。でも、すでに見てきたように、基本的人権の観点から当事者が合意したうえでのポリガミーが許されるなら、複数の相手と付き合うことだって許されていいのではないでしょうか。

これは個人の指向の問題です。私自身は複数の人と付き合うことを望みません。でも、それを望む当事者たちの気持ちを尊重することは大事だと思うのです。だから相談者さんもお互いにそれを了解しているなら、何も悩む必要はないと思います。

 

Text:Hitoshi Ogawa
Photo:雪ボタン、Getty images

【小川仁志】
1970年京都市出身、京都大学法学部卒。伊藤忠商事に入社するも退職し、4年間のフリーター生活を経て名古屋市役所に入庁。その後名古屋市立大学大学院博士後期課程を修了し、博士号取得。2015年には山口大学国際総合科学部准教授となる。専門は公共哲学、および政治哲学。商店街で哲学カフェを主宰するなど、市民のための哲学を実践している。哲学に関する著書多数。 

 

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