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なぜか高値で取引される小林製薬「紅麹サプリ」。フリマ転売から見た人の心に潜むデスノート!

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講演、メディア出演、執筆などを通じて、炎上の「火消し」からフェイクニュース対策まで幅広く発信している小木曽健氏によるネットニュース分析、推察コラム。

終わりの見えない小林製薬「紅麹サプリ」問題ですが、現時点では、「紅麹」のリスクではなく製品に問題があったらしい、亡くなった事例の中には死亡時期が今件と合致しないケースも含まれるらしい、小林製薬の紅麹を原料とした他社製品は「念の為」に自主回収している模様、といった状況です。

つまり情報リテラシーをフル動員して「適切に怖がる」ことが必要な局面なんですが、とは言え「らしい」が多過ぎで確定情報は少ない。消費者はもとより、巻き込まれた取引先やサプリ業界全体にとっても、非常に厳しい状況が続いています。

間違いなく言えるのは「回収対象になっているサプリは摂取するな」なんですが、実はこれほどの騒ぎになっても、メルカリ等のフリマサイトで未だ当該商品が売られ、買われています。しかも定価の10倍近くで……なぜ?!

運営も都度削除しているようですが、売る側も隠語を駆使するなどイタチごっこ。本記事を執筆している時点でも、隠語での検索で1点見つかりました。

いったい誰が買うんだ、と不思議に思われるかもしれませんが、世の中には(本当に実行するかは別として)「誰かを殺したい」と思っている人がいるということです。

例えば「旦那デスノート系」のサービスを覗いてみると、あ、旦那デスノート系とは「自分の旦那を殺したい衝動を抱えている人」が集い、その思いを吐き出しているサイトです。ホントにそういうのあるんですが、そのサイトでは、

「紅麹のサプリ、薬局で買えない」

「そんなに効くなら買っておけば良かった」

このような投稿がされており、地獄のフチを覗いた気分になれます。「書き込んでいるだけ」「フリマで買ってスッキリしているだけ」と思いたい。だって人殺し、ダメ、絶対。当たり前ですからね。

実はこの「当たり前」について、若者から「なせ?」と真顔で聞かれることがあります。学校などでの講演後、ネット経由で「どうして人を殺してはいけないのですか?」と質問されることがあるのです。

冷やかしでも中二病でもない、まるで「あなたはどう答えるのか」を品定めするような冷静な文面。そこは「大切な人が殺される場面を想像してみて」とか「命の尊さ」みたいな当たり前の(でも真っ当な)回答では納得しない凄みがあり、そういった普通の回答をすれば「コイツも他の大人と一緒か」と失望されて即終了。そんな張り詰めた「なぜ人を殺してはいけないのですか?」というメッセージに対し、私はどう答えるべきか……。

(以下は「人を殺してはいけない理由」の議論が目的ではないので、異論とかご意見とか「その説明じゃダメだ」とか、そういうのはホントに結構です。そういう方は「戻るボタン」でGO)

 

私から送信した回答

人を殺してはいけない理由は「人を殺してもよい」となった瞬間に、社会が崩壊するからです。

文明社会は、食料、物流、医療、エネルギーほか、もう数え切れないほど細分化された「分業」で成り立っています。もはやどれが欠けても社会は維持できません。社会を維持する仕組みを皆で分業・分担する、それが文明社会です。

もし人が人を殺してもOKとなれば、その高度な分担が維持できなくなり、文明はあっという間に崩壊します。事実、戦闘状態となった地域はたいてい文明崩壊に陥ります。

社会的な分業体制を維持する為に、文明がモラルを生み出し、人を殺してはいけないという共通概念を作ったのでしょう。

社会=人間の集まりですから、社会のルールから逸脱する殺人行為は、人間をやめるのと同じです。人間として生まれたのなら、相手も自分も天寿を全うすべきです。

……私が伝えたのは概ねこんな内容。やがて返信が来ました。「いつか人を殺してみたいと思っていましたが、納得したので大丈夫です」ホント勘弁してほしい。

人殺しダメ、絶対。フリマで買ったサプリは小林製薬の返品受付センターへ。

 

Text:小木曽健(国際大学GLOCOM客員研究員)

※本記事のタイトルはFORZA STYLE編集部によるものです。



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