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今回お話を伺ったのは、首都圏から夫が生まれ育った地域に移り住んで5年近くになるという城之内かのんさん(仮名)。かのんさんは夫と小学校2年生の子どもの三人家族で、現在、二人目を妊娠中だ。
「会社からの打診もあって、夫が地元の小さな支社に異動することになり、彼の実家のある自治体に引っ越しました。自治体も空き家紹介に注力していたため、街の中心地から外れた地域で古民家を安く購入しました。地方移住支援型の住宅ローンを利用したので、金利は優遇されています」
和モダンにリノベーションした家と広い庭。最高の住環境を手に入れた。しかし今、地域社会の加速度的な衰弱ぶりが、かのんさん夫婦を不安に陥れている。
「移住したばかりの頃は、環境が人の手で管理されている『気配』をちゃんと感じたんですが……」
引っ越してきた当時、家の周りに多くある空地には一定の頻度で土地の所有者が草刈りに訪れていた。そのため、常にある程度の景観が保たれていたが、たった5年間で様子が変わってきたという。周囲の空地の雑草は伸び放題で、夏場には伸びすぎた草で視界が遮られてしまう。
「町内の側溝掃除も、越してきた当時は『めんどくさいな』と思うくらい頻繁に実施されていたんですが、コロナもあってこの数年で回数も参加者もどんどん減っていきました。
最近は側溝が泥で詰まって、ゲリラ雷雨があると水の逃げ場がなく、すぐに冠水してしまいます。町内のあちこちがそんな感じですよ」
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