ーあんな田舎の墓に埋まるつもり、私はないよ。
久さんは妻のあまりの冷たさに思わず、イラッとしたそう。
「口には出しませんでしたが、曲がりなりにも妻は長男の嫁です。この態度、さすがにひどくありませんか?」。
妻は久さんの態度にうんざりした表情でこう答えたそうだ。
ー私は自分の親をしっかり看取るつもりだし、それぞれ、別でいいでしょう?私はお墓も仏壇もいらないし、樹木葬とか散骨で全然いいと思ってる。うちの母もそう話しているから、いろいろ調べているところだよ。あなたの方もお姉さんと相談して、墓じまいも検討したら?
久さんは、驚きを隠すことができなかったそう。
「墓に入らない選択があるなんて思ってもみなかったんです。樹木葬とか散骨とか…、田舎生まれだから受け入れられないのでしょうか?」。
【後編】では、死生観の違いが明らかになった久さんと妻、そして姑のやりとりに迫る。
取材・文/悠木 律
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