「そもそも両家への宿泊を伴う帰省が、お盆と年末の年に2度も必要なのかという疑問を、折に触れて夫にぶつけているんですが、それを言い出してもすぐに却下されます。子どもの顔を見せるとか、お墓参り・親戚との顔合わせも必要だという大義名分には敵いません」
夫や義実家との関係をあまり悪くしたくない順子さんは、徹底して夫に抗うことができない。結局、今年も以前のようにダブル実家帰省をすることが決まった。
「ただ、見栄えのいいお土産をいくつも買いに走るのも現地で立ち働くのも私。お盆前から帰省のストレスは始まっているんです」
義実家はもとより、彼女自身の実家への帰省にも苦痛を感じているという順子さん。仮にどちらか選ばなければならないと言われたら、「実家」と答えるが......。
「世間では夫婦がそれぞれの実家に帰れば一件落着なんて言う人もいますが、夫婦別々の帰省を双方が納得すればいいですよ。でもうちはそんなの絶対無理。どう説得すればそんな提案を夫が受け入れてくれるのか、思いつかないんです」
夫が順子さんの苦痛を理解できないのは、夫自身は両家いずれの実家でも心からくつろぎ、有意義な休暇を楽しむことができるからだ、と順子さんは断言する。
後編では順子さんと順子さんの夫が、両家でどのように過ごし、順子さんがどのように感じているのかをレポートする。
取材/文:中小林亜紀
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