「コロナもあったので久々の帰省でした。母は他界していて、暮らしているのは父だけです。小樽の駅からいつもならバスで帰るのですが、父が駅まで迎えにくると言うんです」。
常子さんは、今まさに89歳と高齢の父に免許返納を持ちかけている最中だ。
「だからこそ迎えはいらないと話したんですが、父曰く、バスの本数が減ったこと、さらには観光客が増えたことでバスに乗れない住民がいると言うんです」。
とはいえ、常子さんは「大丈夫」と父の迎えを断ったそう。ところが、実際駅に着いてみるとそこに広がっていたのは、昔とはまるで違う景色。
「私が暮らしていた頃と違うのは当たり前です。そういうことじゃなくて、数年前帰省した時とは比べ物にならないほど、海外からの観光客の方でいっぱいだったんです」。
新千歳から小樽までの電車の車内も観光客で溢れていたそうだ。【後編】ではオーバーツーリズムについて常子さんと父が思うことをさらに深掘りしていきたい。
取材・文/悠木 律
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