大谷翔平選手の通訳である水原一平氏がドジャースを解雇されたと複数のアメリカメディアが報道した。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「報道が本当であれば、青天の霹靂、まさに衝撃です。ロサンゼルスタイムズによると大谷選手の資金を大規模に窃盗し、違法ブックメーカーでの賭博につぎ込んだとされています」。
大谷選手の口座の資金を使えるほどの信頼を得ていたことにも驚く。
「確かにそうですよね。どんなに信頼していたとしても、個人の資金を自由に使えるというのは一般の感覚ではあり得ません。これから詳しいことがわかってくるとは思いますが、何より心配されるのは大谷選手のメンタル。開幕したばかりでこの報道では落ち着いてプレーするのも至難の業でしょうね。心中を察します」。
お金はこうも人を惑わすのか…。一方で水原氏はギャンブル依存症であったとの報道もなされている。世間的に見れば、裕福で幸せ、充実した生活をしていると思える人にも闇はあるのかもしれない。今回は、ギャンブル依存症で人生を棒に振ったある男性の話だ。
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里山譲さん(仮名・42歳)は、半年前から自助グループに通い、ギャンブル依存症の克服に励んでいる。
「お金だけでなく、家族も友達もすべてを失いました。仕方ありませんね。このグループに参加するところまでをサポートしてもらっただけでも元妻には感謝しかありません」。
譲さんが初めてギャンブルに手を染めたのは、高校生のときだったという。
「友達とパチンコ屋に行ったのが始まりですね。ちょっと悪いことをしている、そんな感覚を楽しんでいたように思います。初めのうちは少し勝つだけで高揚感を味わえていましたが、徐々にそれでは満足しきれなくなりました。ただ、その頃はまだ自制が効いていたと思います。大学進学と上京の夢があったので…」。
本格的にギャンブルにハマることになったきっかけは、この上京だった。
「一人暮らしを始めたことで、今までにない開放感を味わうようになりました。何時に帰ってきても何をしていても誰も怒らない。この生活で僕の日々は一変しました。実家からの仕送りはすぐに底をつきましたが、家賃と光熱費は親の口座からの引き落としになっていたので暮らしに困ることはありませんでした。大学1年生の冬にはほぼ学校にはいかなくなり、朝からパチスロに並び、1日中パチンコ屋で過ごしていましたね」。
しかし単位習得があまりに足りていないことを心配した母が突然、家を訪ねてきたらしい。
「うちはそこそこ裕福だったんです。父は家庭を顧みるタイプではなかったので、その日に来たのは世間知らずの母だけ。彼女を騙すのは簡単でしたね」。
母は息子の精神を病んでいたという話を鵜呑みにし、お金が足りないならと仕送りを増やしてくれたと話す。