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LIFESTYLE 女たちの事件簿

「わざわざウズラ食べさせるとか、バカだよね?」ウズラ廃止の署名を課された主婦が、正義漢ぶったママ友に「どうしても言えない違和感」

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福岡県みやま市の市立小に通う7歳の男児が、給食で提供されたウズラの卵を喉に詰まらせて死亡するという痛ましい事故が起きた。

これを受け文科省は給食時の窒息事故防止のための指導徹底を全国の教育委員会に通達。一部の自治体がウズラの卵を給食で提供しないことを決めるなど、すでに影響が広がっている。

危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は、子供の給食時の窒息事故について次のように指摘する。

「消費者庁によれば、平成26年から令和元年までの6年間に食品の誤嚥で窒息から死亡に至った14歳以下のお子さんは80名にも及んだといいます。

食品によっては窒息だけでなく誤嚥で気管などに入ることがあり肺炎リスクにも繋がるため、誤嚥が引き起こす死亡事故リスクを持つ食品はウズラに限らず数多く存在します。

誤嚥予防にはその時原因となった食材の廃除では対応しきれないのが実情。また、該当食材の生産者の方々にも目配りが必要です。美味しく安全に食べることはもちろん、生産・流通・廃棄まで学ぶことも合わせて”食育”ととらえるべきではないでしょうか」


今回の誤嚥事故を受け、こうした事故予防対策として日ごろ家庭でどのような教育指導がなされているのか調査していると、福岡県での誤嚥事故に関して意見があるという女性から話を聞くことができた。

「先日起きた事故は翌朝すでに大きな話題となっていて、登校時の旗振り当番で一緒になった顔なじみのママ友たちともその話で持ちきりでした」

こう話し始めたのは東海3県内某市在住のパート従業員・近田美佐紀さん(仮名)。

「お恥ずかしいのですが、我が家ではこういうことがあった時だけ子供たちに注意を呼びかける感じです。今は下の子が5年で上2人は中学生なのでいちいち言わなくなっているんですね。

小さい頃には口酸っぱく言いました。よく噛むのはもちろん、食べ物がお口に入った状態でのお喋り、笑ったり笑わせたりはダメだとか」

それでも子供は食事中にふざけたり笑ったりするものだし、そもそも噛む作業が大人ほど上手くないため、幼い頃には何度かヒヤリとする場面もあった。

「子供が笑った拍子に舐めていた飴を飲み込んでしまったことがあります。溶けてだいぶ小さくはなっていて、呼吸はできていたので救急車は呼びませんでしたが、子供が感じた違和感は思いのほか強く、かかりつけ医に電話して指示を仰ぎました」

医師から電話口でいくつかチェックを受け、あとは自ら対処したという美佐紀さん。その後医師の指示に従い、子供の背中をさすりながら落ち着かせ安静にした。

「子供の違和感がなくなるまでには結構な時間がかかりましたが、肺に入ったりもせず、そのまま事なきを得ました。当時息子は6歳。誤嚥リスクに対してちょうど油断し始めた頃だったので、改めて意識し直した記憶があります」

©Getty Images

いつ何どき誤嚥が起きるかわからない、と改めて小さな子供の食事につきまとうリスクに怯えたという美佐紀さんだが、今回のウズラの卵の誤嚥事故ではママ友たちそれぞれの考え方の違いを鮮明に感じて驚いたという。

「旗振り後に集まってきた数人で少し立ち話したのですが、福岡県で起きた給食での死亡事故については『噛もうとした時にツルっと飲み込んでしまったのかなあ』とみんな重い口調で状況を想像していましたね」

ママ友のうち1人は今年小学校に入ったばかりの子の親で、ことのほか不安を募らせていた。

「そのママ友はこう言い出しました。『小さい子は歯も口も小さいし、噛む力も弱いわけでしょ。そもそも論として、リスクのある食材をわざわざ給食に入れなくて良くない? わざわざウズラ食べさせるとか、バカなの?』と」

美佐紀さんは小首を傾げることで「私はそうは思わない」という意見をちらつかせたが、大きく頷いている保護者もいたそうだ。件のママ友は、そこからある提案を思いつく。

「凄くいいことを思いついたという顔になって『私1人で学校に申し入れても効力なさそうだから、給食でウズラを提供することをやめてもらえるようみんなで頼んでみようか』と」

一人のママ友の提案に賛同する意見は出たものの、美佐紀さんは首をかしげる。給食でのトラブルを回避するためには、本当に食材の排除をしなければならないのか? 後編へ続く。

取材/文 中小林亜紀



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