施設のスタッフは、幹人さんが訪れた時に見る限りでは、母に優しく話しかけている。
「『婆さんと呼ぶスタッフさんがいると母が言っている』と施設に言ってみましたが、『そのようなスタッフはおりません』との一点張りです。実際にいても認めるわけがないですよね」
妻は義母を今の施設に入れておきたいと明言しており、夫婦の意見は真っ向から対立している。単身赴任の準備で忙しかったことにかまけて施設選びを妻に一任したことが間違いだった、と幹人さんは数年前の自らの行動を反省しきりだ。
しかし、話を伺っていると、問題は夫婦間・嫁姑間の目に見えないストレスや根深い感情に起因しているようにも思える。関わる全ての人が納得できるような解決策を見出すことは、簡単ではなさそうだ。
※この記事は取材に基づいていますが、取材対象者保護の観点から必要に応じて編集を加えておりますことをご理解ください。
取材・文 中小林 亜紀
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