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こだわり抜いた本気仕様のラリーカー ポルシェ911ダカールが超絶イケてる理由

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これまでとはまったく違うアプローチで誕生した異色の911

ポルシェ911シリーズの中でとても異色なモデルがあります。写真の911ダカール。見た目にインパクト大な一台です。

異色なのは車体が上がっているからでしょう。通常スポーツカーであれば車高を低くするのが鉄則ですが、このクルマは逆となります。最低地上高は161mm。スポーツサスペンションを備えた911カレラよりも約50mm上がっています。しかも、ドライバーが手元のスイッチを入れるとそこから30mm上昇。最低地上高は191mmまで広がります。エアサスペンションを装備したカイエンの標準レベルが193mmですから、かなり高いことがわかります。なんたってボディは911ですから違和感バリバリです。

ご存知の方は多いでしょうが、このクルマはラリーカーをイメージしてつくられました。その名の通りパリ・ダカールラリー。1980年代、ロッシュマンズポルシェのカラーリングをまとった953や959が活躍した舞台です。今回の試乗車は953のゼッケンナンバーが付いていますが、それは当時のモデルを意味します。正式名称は911カレラ3.2 4X4パリ・ダカール。でもって、ボンネットにはパリ・ダカール優勝と6度のル・マン24時間レースの優勝を経験したジャッキー・イクス氏のサインが入っています。昨年のイベントで書かれたものです。

そんな911ダカールは2022年11月に行われたロサンゼルスモーターショーでお披露目されました。話題となったのは当然のこと、ポルシェ好きはヒストリーにも詳しいですから、メディアもファンも即座にその意図を汲み取りました。パリダカへのオマージュなんだと。

ディメンションは、全長4530、全幅1864、全高1338mmとなります。車両重量は1680kg。キャビンにはロールゲージの入った2シーターで、ハンドルは左のみです。かなりターゲットを絞っていますね。エンジンは3リッター水平対向6気筒ツインターボ。最高出力は480psで最大トルクは570Nmに達します。組み合わされるギアボックスは8速PDK、駆動方式は当然4WDです。砂埃を想定してエアフィルターボックスにはサポートグリルが付いていて、911ターボより強力なファンモーターが取り付けられています。まさに細部まで本気仕様。エンジンマウントも、凸凹の道でも振動を抑えられるよう911GT3と同じパーツを採用しています。

ユニークなのは足元で、ホイールはオーソドックスなデザインのホワイトに塗られたものとなります。ここはまんまラリーカーというか、“ヨンク”って感じです。しかもタイヤはピレリと共同開発したスコーピオンのオールテレイン。まさか911にこれだけトレッドパターンのしっかりしたタイヤが装着されるとは夢にも思いませんでした。サイズは前245/45R19、後295/40R20です。

といったタイヤを履いた足元なので、実際に走り出すと溝の深いトレッドが小石を跳ね上げて、タイヤハウス内側をバチバチ叩きます。もちろん路面次第ですけど、そんなおまけもありました。ただ、乗り心地は思いのほかよく、嫌な突き上げやゴツゴツした硬さはありません。オフロード走行を鑑み、サイドウィールの剛性を高めた割には日常使いも十分出来そうです。とはいえ、Pゼロのサマータイヤやウィンタータイヤもオプションで用意しているそうなので、そこまでお化粧しなくていい人はそちらを選ぶのもあり。使い勝手が上がるのは想像しやすいでしょう。

 

といったクルマなので、かなりマニアックなファン向けと思いきや人気は高く、手に入れるのは困難な状況だと耳にします。昨今の911ブームは尋常じゃありませんね。それじゃ購入者全員がこの派手なカラーリングを纏うのかといえばそうでもないようです。このラリーデザインパッケージを選ぶ人もいれば、スタンダードな白や黒を選ぶ人もいるようです。ホイールもそう。ホワイト以外にもサテンブラックとかありますからここまで目立った仕様にはならないと思います。「地味に見えて実はダカール!」なんてのもかっこいいかもしれませんね。日本人はアンダーステートメント好きですから。個人的には有償カラーのシェードグリーンメタリックが好みかな。そんなダカールも見てみたいもんです。



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