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クラウンの新型セダンが今こそ気になる理由とは!?

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クラウンが4つのモデルをつくる意味を徹底解析

クラウンクロスオーバーの登場からずいぶん経ちますが、同セダンと同スポーツに乗る機会を得ました。正式な発表はセダンが11月、スポーツが10月でしたが、事前にいろいろな場面で目にしていたので驚きはありません。ですが、並んでいる姿を見ると絶妙にデザインの親和性があることに気づきます。取り組んだエンジニアやデザイナーたちのこだわりでしょう。クラウン4兄弟は侮れません。

スポーツ

4つのモデルのポジショニングは、縦軸を「創造」と「基盤」、横軸を「理性」と「感性」にした場合、クロスオーバーが中心に立ちます。そして「創造」寄りの「理性」がエステート、「基盤」寄りの「理性」がセダン、「創造」寄りの「感性」がスポーツとなります。つまり、今回のセダンとスポーツは対極にあって、新型クラウンの中でもっとも保守的なものと革新的なものになります。確かにスポーツはこれまでのトヨタブランドにはない“高級スポーツSUV”ですから新たな挑戦と言えるでしょう。マーケットの反応が楽しみです。

ただ、個人的に興味を持ったのはセダンの方。背の高いクルマ全盛の中、真剣に新しいセダンをつくるのもまたチャレンジだと思うからです。メルセデスやBMW、アウディといったジャーマンスリーを見れば明らかですが、クラウンよりも大きなマーケットで長年戦っている彼らでさえセダンは苦戦しているのが現状。EクラスよりGLE、5シリーズよりX5の販売の方がグローバルでは順調となります。SUVの圧勝です。でも視点を変えると、クラウンが4つのモデルをつくる意味がわかってきます。それはEクラスにセダンとステーションワゴン、GLEとGLEクーペがあり、5シリーズにセダンとツーリング、X5とX6があるということ。つまり、クラウンにもセダンとエステート、それとSUVとしてのクロスオーバー、SUVクーペとしてのスポーツがあってもいいのではとトヨタは考えたのです。で、あれば4種類つくる理由が腹落ちしますよね。「クラウン=セダン」というこれまでの図式を取っ払って周りを見回せば、こうなるのは自然なことかもしれません。

セダン

ではセダンの詳細ですが、このクルマは個人オーナーの需要よりも法人を対象としています。その証拠にパワートレインは2つに絞られるのですが、そのひとつが水素を燃料とするFCEVだからです。これはトヨタミライと同じシステムで、水素を電気に変えてモーターを動かしタイヤを駆動させます。よって走行中の二酸化炭素排出力はゼロ。理想的です。が、ご存知のように水素ステーションはまだまだ足りていません。そこで、カーボンニュートラルの観点から官公庁や付随する法人に向けて開発されました。その方がレプテーション的にもいいし、セダンを欲する彼らのニーズに応えます。それと大出力の外部給電ができるので災害時は大いに役立つことでしょう。

とはいえ、もうひとつは2.5リッターマルチステージハイブリッドシステム搭載車なのでご心配なく。こちらはガソリンで動かせます。セダンのスタイリングやデザインが気に入ったら、個人ユーザーでも安心してこちらをお買い求めください。

走らせた印象はどちらも快適な大型セダンでした。ルーミィなキャビンは居心地の良さ満点。そこは長年培ってきたクラウンの持つノウハウでしょう。それでいてどちらも運動性能は高いのがミソ。特にFCEVは太いトルクでアクセルに対しグングン速度を上げていきます。EVならではの加速感です。そしてコーナーでは素直なハンドリングができ、ボディがそれに追従します。堅牢なボディにストロークの長い足がうまく噛み合っていました。ロールの抑えも上品で無理矢理な感じはしません。

ハイブリッド車も良かったです。2.5リッター4気筒のエンジンの回りは滑らかで、気持ちよく吹け上がります。走りながら「これって新しい2.4リッターユニットの方だっけ?」と思ったほど。最近トヨタはこの辺のフィーリングがかなり良くなっています。

ということで、クラウンセダンの2つのパワーソースを試しました。FCEVもHEVも完成度は高いと思います。あとはどうトヨタ流の味付けをするかだけですね。

それはともかく、セダンは4つのモデルの中で一番マイナーな存在になると思われます。前述したように個人ユーザーの比率は一番低いからです。ですが、その分他人と被ることなく独自性を打ち出すことができます。よってそこを欲するのであれば、HEVはいい相棒になるでしょう。でもってもし水素ステーションと無理なくお付き合いできる環境であればFCEVをお求めください。かなりレアなカーライフを送れます。



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