習慣的に喫煙する人の割合、いわゆる喫煙率は国立研究開発法人国立がん研究センターによると減少傾向が続いてきたが、ここ数年は下げ止まり傾向にあるという。危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏はこう話す。
「2020年4月に改正健増法が全面施行され、屋内は原則禁煙になりました。これは吸わない人が煙の迷惑、いわゆる受動喫煙を予防することを目的にしています。これにより飲食店の屋内でタバコが吸える場所は限られることになりました。愛煙家にはなかなか厳しいご時世です」。
今となっては居酒屋や飛行機、新幹線内で当たり前のようにタバコが吸えていたことが嘘のようだ。タバコが日常から遠ざかれば遠ざかるほど、臭いに対する耐性も減るのかもしれない。さらにタバコは体臭にも影響を及ぼすらしい。日本分析化学会によるとタバコのニオイ化合物は喫煙者の呼気や皮膚分泌成分からも検出されるそう。さらに暖房が効いている冬の室内は実は、体臭を感じやすい。今回は、部署移動で隣に引っ越してきたある男性のニオイに悩まされている女性に話を聞くことができた。
………………………………………………
小山涼子さん(仮名・47歳)は、転職早々、厄介な部下を持つことになってしまったひとり。彼も同時期にこの会社にやってきた転職組だ。年齢は32歳、どうやら独身らしい。
「私は去年、この会社に管理職として転職してきたばかり。彼もほぼ同時期に一般職として転職を敷いてきました。ただ初対面から嫌な予感はしたんです。こんなこと言ったらダメなのかもしれないけど、どことなく汚いというか…」。
涼子さんがまず気になったのは、その身なりだった。
「ワイシャツはくしゃくしゃ、スーツの肩にはフケ?みたいなゴミがついていて、清潔感が感じられないタイプ。社外だったら、近づきたくありませんね。電車の席で隣になったら、私、席を立ってしまうと思います」。
とはいえ、涼子さんの部下には変わりない。業務として接することを心掛けていたが、どうにもこうにもうまくいかない。
「この会社に転職してきて驚いたのですが、まだタバコが吸えるんですよ。もちろんビルの外の喫煙所ですけど。前の会社では、全面禁煙だったのでこれには面食らいました。私はもちろん非喫煙者です。フロアに喫煙者は数名。一服休憩が異常に多いというような問題行動は見受けられなかったので、さほど心配はしていなかったのですが、やっぱりタバコのニオイって気になりますね。例の彼は喫煙者の1人です」。
彼が午前に1回、午後に2回ほどの一服休憩から戻ってくるたび、辺りにタバコのニオイが広がると話す。