物価の高騰が収まりを見せない。
ある金融機関の調査によると、物価高騰によって家計が苦しいと感じている人は回答者全体の約4割に上った。それに加えて国民を苛立たせているのが政府の方向性のブレ。1回限りの所得税減税、配偶者控除見直しなどの報道に不満や不安を強めている方も少なくないだろう。
危機管理コンサルタントの平塚俊樹氏は超物価高のなかで節約を頑張る方に対し、こう助言する。
「完璧主義の方やストイックに頑張る人は、自分でも気が付かないうちに大きなストレスを溜め込み、突然緊張の糸が切れて心身に不調を来すこともあり得ます。これは物価高騰が続く今、庶民が強いられている消費への我慢や節約の努力に対してもいえること。あまり思い詰めず、小さな楽しみを見つけながら節約する、一人で悩まず家族に愚痴をこぼすといったガス抜きも必要ですよ」
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物価高が続くなかで直面したトラブルなどについて取材をしていく中、今回お話を聞かせてくれたのは会社経営者の宇佐美俊英さん(仮名)。真面目で倹約家だった俊英さんの妻・京美さん(仮名)が一時期陥った買い物依存について聞かせてくれた。
「妻の京美は扶養内で収入を得ているパート社員です。某飲食チェーンで働いています。僕は会社を経営していますが、それがイベントで使う機材のリース会社で、コロナで潰れかけまして。今少し持ち直していますが、その頃から京美には苦労かけっぱなしでした」
俊英さんの妻・京美さんはとても真面目な性格で、子供の頃からお小遣い帳や日記をつけ、結婚後も何をやるにも買うにも計画的な人物だったという。
「コロナ不況の中でも、京美がコツコツ貯めてきてくれた貯蓄に何度も救われました。うちは男2人と女1人、3人の子供がいます。上2人が年子なのですが、コロナ禍で高校入学が2年続いたので、家計はたいへん苦しかったですね」
助成があるといっても、高校入学は何かと物入りだった。そして、その時の家計の悪化が今も尾を引いている。
「以前からどんどん物の値段が上がっているという実感はありましたが、この1年くらいヤバい感じだよね、と京美ともよく話していました」
京美さんは、「激安スーパーでさえ卵や野菜の価格が倍近くなっている」と顔面蒼白だったそう。